第24話
逃げる場所がない。
家は建っているが、それより目立つ。
この花の都、男性が人っこ一人いない。
人は見かけによらぬが、あいつ以外は全員絶世の美女。
いや、傾国の美女というのだろうか。
ただ、凝視すると感が鋭いからか、こちらの方を見てくる。
男は珍しい。
よって…噂はすぐに流れる。
変な男が紛れていると。
そして、それはあいつの耳に届いた。
―
エイト「綺麗な花に綺麗な女性、本当に花の都というのに素晴らしい場所だ。しかし…」
後ろから追ってくるやつがいなければ…本当素晴らしいところなんだろう…。
『待てやゴラァ!』
エイト「お金借りてませんかラァ!」
『ぶっ殺す!』
エイト「なんでこいつが捕まらねぇんだよ!」
騒動を見ている女性たちはやつを応援する。
小耳に挟んだがどうやら義賊…のようなこともしているらしい。
だからだろうか。やつを支持する人間は多数いる。
よって…逃げ場がない…。
―
エイト「もうだめだ…力が…入らない…」
誰かが近づいてくる…。
エイト「死んだか…」
―
「ねぇねぇ、大丈夫?」
エイト「ここは…」
「ここは花の都の外れ」
エイト「そうか…助けてくれてありがとう…でも逃げなきゃ…」
「大丈夫。ここにくる人なんてそんなにいないから。ここで寝てれば問題ないと思うから」
エイト「本当か…助かる」
「これ食べて」
エイト「ありがとう」
『ただいま』
エイト「この声は…!」
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