第4話 あれから1年間
その後も、秘剣とスーパーパワーを駆使して、一切苦戦を強いられることなく魔物を借り続け、気づけばすっかり日が落ちかけている
(東側は危険ゾーンだって聞いてたけど…ここまで力の差が歴然とはな…)
己の圧倒的な強さに呆れながら帰路に着く
《自宅》
魔物との戦闘で俺の戦闘力は粗方把握出来た、クリョチ森林の西側で生活に役立ちそうな素材や食材も集めることが出来た
今後の流れとしては、ハンターの資格を手にしてギルドでクエストを受けながら、仲間を増やして次の街へってのが相場のはず
しかしハンターになるにしても、仲間を募うにしてももう少し準備が必要だと思う
俺は確かに強い、だがそれは魔物相手の話であって他のハンターとの差は不明だ、準備不足のせいで詰むのは避けたい
今はまだ動くべきでは無い、魔物と戦って経験を積み、この世界で生活出来る基盤を作る
やるべき事は決まった、俺の異世界転生ライフを満喫してやるぞー!
ーーーーーーーーー
あれから1年が経ってしまった
本来なら、世界を救うなりなんなりがあってもおかしくない時間が経っている
お前は何をしてたかって?
ふん、そんなの決まってるだろ
……準備です…
…………
あーそうですよそうですよ!
強大な悪と戦うこともなければ、世界を揺るがる事件にも巻き込まれてないですよ!
だって準備しかしてないもん!
ハラシアの街に出かけても、情報収集と生活の為だったし??
それも家で畑と家畜を揃えて自給自足の整えが出来てからは足も遠のいたし?
魔物との戦闘も秘剣とスーパーパワーで苦戦したこともないし?
あと空は飛べなかったし?
もうほんとにここでの生活が盤石になっただけですはい……
そりゃ俺だって…異世界転生らしい何かを期待してたけど…だけど…
「おーい!ユーキ!入るぞ〜!」
部屋で1人自虐にハマり込んでいると、玄関から声がした
「あ、どうぞ!」
「いつものやつ、台所に置いておいたからな!」
部屋にひょっこり顔をのぞき込ませたのは、転生初日に出会った、【アルバニア食堂】のガッツさんだ
「ガッツさん!いつもありがとうございます!」
準備期間中もこの街での生き方を教わったり、あらゆる面でお世話になりまくっていて、時折余った食材や料理を今みたいに持ってきてくれるのだ。
「気にすんな!人間助け合いよ!」
と俺の方をバシッと叩く
「ところでよぉ…」
「どうしたんですか?」
バツが悪そうな表情のガッツさん
何か言いたげに躊躇っている
「……こんな痛いけなおっさんを部屋に連れ込んでどうするつもり?///」
「てめぇが勝手に入って来たんだろぉぉお!!」
もじもじしてるおっさんのケツに蹴りをお見舞いする
「そんな…暴力まで…くっ、殺せ!」
「何追い詰められた女騎士みたいなことやってんだあぁぁ!」
「ガハハ!悪い悪い!冗談だよ!」
基本的にボケるの好きなんだよなこの人…
「それと、たまには店に顔出しに来い!料理は出来たてが美味いんだからな!」
ガハハと豪快に笑って部屋を出ていった
確かに、お店どころか街にすら行っていないからな…今日の夜にでも顔出しに行こう
何より、もう準備は充分過ぎるほどにした、あとは俺自身が行動していかなければ、世界は変わらない
それは転生前でも転生後でも同じらしい。
まずは支度をして狩りに出て、その後カルバニアへご飯を食べに行こう
真の異世界転生ライフを始めるために。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます