第13話ㅤ時間制限があるとどうしても焦るよね

「ふあぁ~あ……こんな時間にこんばんは、白雪です」


・こんな時間に珍しい

・開幕あくびとかバカルドンかよ

・もう22時だぞ


「本日は、今から2時間以内にとあるものを回収して脱出を目指す配信になります……ごめん想像以上に眠いから魔法使うわ。……あ”~~~……」


やっべ、使うの久しぶりなせいで加減ミスってすっげ~生き物を殴りたい……、ソロでよかった。


・目がイっちゃった

・過去一やべぇ顔してますよ

・これは今度こそ違法ですね間違いない


「実はね……合法なんですよこれ、取り締まるの大変だし使えるようなやつはダンジョン潜ってもらった方が有用なので」


・闇深じゃん

・その表情で丁寧語なの頭バグる

・中毒性とかないんですか


「あるけど魔法で何とかできるので実質ないですね」


・あかん

・法と倫理は別なんやぞ

・実質無いはあるなんよ


「うっせぇな、時間ないからさっさと攻略始めんぞカス共」


・ほんとにくちわるいじゃん

・これはこれでよい

・白雪ちゃんの声で暴言吐かれると頭バグる


どないせぇちゅうねん。丁寧語で暴言吐けばいいんか?


「あ〜……とりあえず今回のダンジョンここね、いつもと違うとこ。名前は知らん」


ダンジョンに入ると同時に、慣れ親しんだ感覚が身を包む。……気のせいだろうか?いつもより体が動かしやすいような……


・急にほっぺたむにむにし始めて草

・魔法キメたせいで幻覚見えてる?


「ん〜?いや、ちょっと違和感というか……ひとまずダンジョン出て体調セルフチェックするわ、ちょいと待ってな」


・副作用・・・

・やっぱり身体に悪いんか・・・?


うーむ、脳に異常なし、神経に異常なし、筋肉内臓異変なし、皮膚骨血管リンパ諸々変化は見られず。気のせいっぽいな……。


そう思ってダンジョンに再入場すると、やはり気の所為とは思えないほどの違和感が存在している。いいか悪いかで言えば確実にいい方ではある、身体が動かしやすければ事故が起きる可能性も減るのだし。


が、それはあくまで本当に体が動きやすかった時の場合であって、何らかの要因で動きやすくなったと錯覚させられているなら、それはむしろ大きな事故に繋がるものだ。今回は1度出てもリセットされなかったし、諦めて進むことにはするが……


「キッショいなぁ……」


・開幕これは草

・ありがとうございます


「まぁいいか……とりあえず今回の目標はここの最奥、10層らしいんだけど、そこにいってとあるアイテムを持ち帰ることですね。ここがデイリーダンジョンっていう24時間毎に内装が変化するダンジョンなので、時間があと2時間しかありません」


・ちなもう22時半やで

・あと1時間半ですね


「マジ?……マジじゃん、今日12時撮影スタートで20時ギリギリに撮影終わって、そこから社長の車のかったい椅子で2時間揺られてきたのに駄目でしたとか笑えないんだが??」


ついさっきわざわざ回復魔法使ったんやぞこちとら、ちなみに社長はクッション付きの椅子だった。ボケが。


・残業幼女

・これは暴言も出るわ


「しゃーねぇ、いそぐかぁ……孕ませスライムはめんどいからスルーするとして……」


・相変わらずスルスル抜けてって気持ちいいすね


「孕ませゴブリンは気晴らしに一発殴る」


・ひどい

・あーあーゴブリンの大切な場所(首)おかしくなっちゃったよ・・・

・何のうらみがあって


「気晴らしだっつってんだろ、耳ついてないのか?」


あ〜まずいまずい、暴言が、暴言が……、とりあえず明日の12:30に謝罪配信の枠予約しておこう。


・極悪非道や

・ゴブリンも泣いてるわ


「大丈夫大丈夫、どうせ1時間半後にはリセットされる命なんだし」


・幼さと無垢さゆえの残酷さやね・・・んなわけねえわ

・ぺロッ・・・これは、サイコパスの味・・・!!


「2層の孕ませオーク共は頭がデカいので足場にしやすくていいですね。……皆さんももうお気づきだと思いますが、今日のこのダンジョンはすべてのモンスターが孕ませシリーズ……何がとは言わないけどナニがナニしたら百発百中の奴らとなっておりますね」


・言ってるじゃん

・1行矛盾シリーズすき、頭回ってないからしょうがないね


くだらない話をしていたらもう3層だ。時間はあと……1時間25分、出来れば1時間は残しておきたいんだが……。


「早くも3層にやって参りました、出現モンスターは……ゴブリンとオークですね、もっとバリエーションを出せよ」


・エロトラップダンジョン格付けチェック始まった?

・口が悪いって言ってただけあってなかなかの辛口評価やね


「同じ絵面だとお前ら飽きるじゃん」


・たしかに

・俺たちのせいだったか・・・


そうだぞ、反省しろ。


「とりあえず4層に期待ってことで……あ、宝箱と階段見えてきましたね、ミミックですけど」


・スルーされた宝箱が悲しそうにこちらを見つめて・・・マジでミミックやんけ!!

・こっち見んな


「さ〜て4層のモンスターは……ちょっと大きいゴブリンとオークですね。そういえば今回の目的なんですけど〜」


・好きの反対は無関心ってか

・格付けチェック、映す価値なし!笑

・ついに見向きもしなくなってしまったか


「と、その前に皆様エロトラップダンジョン3ヶ条というものをご存知でしょうか?」


・しらない

・なまえだけ

・なんそれ


「1、殺さない。2、壊さない。3、持ち出さない……どこかで聞いたことない?」


・ない

・ないっすね


ない、ないかぁ〜そっかぁ〜……いや、うん俺もエロトラップダンジョン潜り始めるまで知らなかったしね、むしろ知ってる方がヤバいやつかもしれない。


「こちらの3ヶ条はですね、エロトラップダンジョンの内部においてとってはいけない行動3つとなっております。後の方になればなるほど罰則も重いものになります」


・めちゃくちゃ破ってるやんけ!

・罰則って大丈夫なん?


「いや〜罰則の内容が最初の2つは捕まる期間の延長だけなんですけど、エロトラップダンジョンに捕まって正気を失うボーダーラインが2週間って言われてるんですよ。俺の場合最短でも6年想定ですからね、もう別にいいかなって」


・よくはないだろ

・なんだただのクレイジーロリか

・なんでそう変な方向にばかり思い切りがいいのよ!!

・最初の2つってことは最後の破ったら違うんか


いいんだよ、どうせ捕まらないし。


「最後のを破ると……実はこれからやる予定なのでお見せしますね」


・うわ

・サイコロリ

・何考えてんの


いや、元々そういう予定だっただけだし……


「うわ!サキュバスちゃんいるじゃん!ここ孕ませダンジョンだしもしかして……生えてる!!!生えてるぞこのサキュバスちゃん!!!……あれ、今何層だっけ?」


・8層やね


いつの間に。


・サキュバスチャンカワイイヤッター!

・サキュバスチャン?カワイイヤッター!

・サキュバスクンカワイイヤッター!

・サキュバスクンチャンカワイイヤッター!


「個性を出そうとするな個性を。とりあえず、このサキュバスは後々ギミックで必要になるかもしれないので縛り上げます」


ええっとこのサキュバスは……。


「雑魚ですね、ゴリ押しで行けるわこの程度」


魔法も撃ってこないし、接近戦に持ち込もうともしないし、誘惑もしてこないし……。


「撮れ高にならないじゃん」


・草

・そのセリフが撮れ高だよ


サキュバスをサクッと無力化して縛り上げ、荷物の上から背負えば次の階層が見えてくる。


「……」


・またゴブリンオークで草

・無言で虐殺してて草


「サキュバスちゃんのおかげで絵面はちょっとだけよくなったけどさ……けどさ……」


あとついでに変化が無さすぎて眠気覚ましの過剰分が相殺されてきたけどさ……


「そういう問題じゃないんだよなぁ……」


・かなしいね


「やっと10層ですね、モンスターは……媚薬ゴーレムか、無生物系統が来たということはおそらくお目当てのものがあると思います」


・答えをはよ教えてくれ


「そんなに急かすなって……では、発表!本日私が取りに来たのは、孕ませ棒(スティックタイプ)ですね!腹部を軽く一突きするだけでどんな生物の子どもも孕めるようになる、のはどうでも良くて次回必ず妊娠し出産までできる不妊治療の最強アイテムでございます!!」


・発表しながら媚薬ゴーレム片手間で潰してるのウケる

・なんそれ知らん・・・


は?童貞陰キャ孤独死おっさんか?……いや言い過ぎたって、ごめんごめん。


「ちなみにゴムをつけても貫通して妊娠します!魔法の力ってすげー」


・すげー

・凄いというか怖いというか

・魔法って不思議やな・・・(N回目)


「で、ここからが本番なんですけど・・・これを持ち帰ろうとするとどうなるのか!今からお見せしたいと思います!!」

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