映画「次元大介」僕らが愛する孤高のガンマン

 「次元大介」の名を聞けば、大抵の人はあの恰好を思い浮かべるはずです。


 ダークカラーのスーツ、ネクタイ、中折れ帽(フェドーラやツマミとも言うらしい)、顎鬚、マグナムリボルバー……


 ルパン三世の相棒にして、フィクションの世界で代表的なガンマンの1人と言えるでしょう。

 殺し屋、用心棒、傭兵……次元大介の経歴は硝煙と血の匂いが染み付いています。

 

 そんな次元を、僕は大好きですし。憧れでもありました。

 


 ハードボイルドでロマンチスト。

 どんな局面でも笑って、口からジョークが飛び出し、マグナムの銃口が火を噴く。

 早撃ち、狙撃、なんでもござれ。

 

 次元のというのは、ずっとスタイルを貫いているからなんですよ。

 ルパンがジャケットやネクタイ、銃すら変えていく中でも、次元は服装からリボルバーのチョイスまでずっと変わりません。

※コミック作品「ルパン三世Y」では愛銃のワルサー社のP38を同じワルサー社P99に更新しています。



 本作、『次元大介』という映画では原作コミックやアニメ初期の設定を踏襲しています。

 愛銃のS&W社 M19が不調になったというところから始まるのです。

 

 描写的には大して変わったようには見えません。

 しかし、最強のガンマンという称号を持つ男に妥協という選択肢は無いのです。

 世界各地を転々として、自分の愛銃を直せるガンスミスを探し、日本のアンダーグラウンドな街に導かれ……



 正直、ある程度の知識があれば「拳銃の射撃に精度を求める」のは間違っていることくらい、すぐにわかります。

 そのが展開されても、次元大介の魅力が損なわれるわけではありません。



 あと、次元大介は平成以降のTVスペシャルの中で何度かリボルバーを新調しています。

 ですから、必ずしも「次元大介=M19」とは僕は思ってないのです。




 さて、映画の話に戻りましょう。

 本作は「次元大介」にあこがれを持つ人には是非とも観て頂きたい映画になります。


 しかし、1つだけ注意してもらいたいことがあります。




 次元がをしていないのです。


 そんなことか、と思う人もいるでしょう。

 しかし、スタイルを守るという点において、初めから付けてないのと、外すのでは話が大きく変わってきます。

 次元大介のスタイルというのは、帽子を含めてキッチリと固めて丁寧な着こなしの上に顎髭と姿勢の悪さ、煙草の紫煙……それら全てが揃って、ようやく次元大介のスタイルというものが完成します。

 ですから、ネクタイというのは重要なファクターです。おわかりですね?



 アクションの部分は素晴らしいの一言に尽きます。

 闇討ちを撃退したり、町中から現れる悪漢を片っ端から倒していく姿は、まさにアニメの中にいた次元そのものです。

 随所にきちんとした銃の取り扱いの所作を見られますし、敵の動きもきちんと見せる構図で「いかに次元を追い詰めているか」をわかりやすく見せている点が評価できますね。


 具体的なアクションについては……もちろん、完璧でタクティカルなものだとは言えません。

 しかし、その勇姿は本当に「次元大介」なのです。


 復活したM19コンバットマグナムを再び手にした後のアクションは、まさに暴力的。かつ、その威力を、火力を、余りある暴力を、自由自在にコントロールする様は僕らが愛した孤高のガンマンそのものです。




 というわけで、是非とも「次元大介」を最後まで観て頂きたいです。














追記


 リボルバーは故障しない、壊れない。という言説があります。


 これはちょっと正しいとは言えなくて、きちんとしたメンテナンスと管理が必要だという部分を強調させて頂きたいです。



 まず、リボルバーとオートマチックの差として、リボルバーは機械的な動作で発砲するので内部機構の作用で次弾を発射します。

 これがリボルバーが早撃ちに適しているという要素ですね。

 ――何を言っているかわからん。と思う人もいるかとは存じますが、これがリボルバーの重要な部分です。


 逆にオートマチックはというと、リボルバーの機械的な動作だけではなく。

 発射時のガスも作用に含まれます。これらの一連の動作がオートマチックピストルの「スライドを後退させる」という動きに繋がります。

 大抵のオートマチックピストルは「スライドを後退させる」という動作によって、次弾を発射できるようにするのです。


 つまり、リボルバーはオートマチックの複雑性が無いから、早く発砲できるわけですね。




 あと、先ほどの「発射時のガスを利用する」という性質上、オートマチックピストルは燃焼ガスをコントロールしているので、銃口より先に手を出していなければ射手が負傷するようなことはありません。


 しかし、リボルバーは見ての通り、弾倉~銃口まで密閉されていないので発砲時にはガスが弾倉周囲で噴出します。

 リボルバーピストルを扱う際、ハイグリップ(取っ手の上の部分を握る)で発砲すると燃焼ガスで手を焼いてしまいます。

 


 リボルバーはこういったデメリットがあるんですね。

 あと、この密閉されていないという点でお気づきの方もいると思いますが、異物が内部に侵入してしまうということでもあります。

 ですから、メンテナンスが必要というわけなのです。



 そして、リボルバーの最大の利点を明確にして、この話を終えることにしましょう。


 オートマチックピストル、その弾倉マガジンはバネで弾薬を押し上げます。

 常にバネで掛かったテンションによって、銃弾がピストル内部に供給されているわけですね。


 もちろん、バネですので。ずっと弾を入れたままにするとへたります。

 最近では「そこまで悪くならない」という検証結果もありますが、よく指摘される問題点ではあります。


 しかし、リボルバーは弾倉に銃弾を入れていても、弾薬そのものを固定する作用というのは特にありません。

 なので、弾を入れたままにしても消耗する部品は特に無いのです。


 ですから、「万が一の備え」として、リボルバーを用意するのはとても理に適っているのですね。

 構造上、強力な弾薬――つまり、マグナム弾を使えるという部分も「マグナムリボルバー」の良いところであります。



 こうして、銃という道具の1つとして「リボルバー」は現在も使われ続けています。

 



 おもちゃでもいいので、銃を1つ手にしてみるというのもいいかもしれませんね。

 ただし、きちんと取り扱いの方法を学びましょう。たかがおもちゃ・モデルガンと侮らないように……!

 

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