映画「素晴らしき哉、人生」
人から「好きな映画は?」と聞かれると、本当に困ります。
それが社交辞令的な質問だったとしても、1人の映画好きとしては突き付けられた質問と真摯に向き合いたいという姿勢でいます。
そういう意味では「HEAT」を紹介してしまうところですが、大して映画が好きじゃない人にはちょっと勧められません。
そこで僕は「素晴らしき哉、人生」を紹介することにしています。
この映画はどんな人が観ても楽しめるし、泣いたり、笑ったりできますからね。
さてさて、「素晴らしき哉、人生」という映画のタイトルを調べた人はご存じかもしれませんが、この作品は白黒映画時代の物です。
――紹介するなら新しい作品にしろって?
いやいや、本当に名作なんですよこれが。
「素晴らしき哉、人生」は色んな災難に見舞われた不幸な男が主人公です。
左耳の聴力が無く、街を出られずに親の会社を引き継ぎ、ハネムーンにも行けず、継いだ会社も倒産寸前。
あとは自殺することでしか、最悪の状況を変えられないと悲観した主人公。
クリスマスイヴ、雪が積もった橋の上で主人公〈ジョージ〉は死を決意します。
すると、そこに現れたのは天使。
自殺しようとする主人公を止めに来て……という映画です。
話もシンプルで、登場人物もたくさん出てきますがなによりわかりやすさという点で最高の映画です。
――もし、自分がいなかったら。
僕も、身近にいる人をどれだけ幸せにできただろうかと、時々振り返ることがあります。
しかし、この映画は古い。
所詮、クリスマス映画だからハッピーエンドは当たり前でしょ。と大人ぶってるあなたには、別の映画をオススメします。
それは「素晴らしき哉、人生」です!!
えっ? タイトルが同じ? ……でもね、違うんですよ。
2016年版、ウィル・スミスが主人公のヤツです。
こちらはもっと複雑ですよ~~!
広告代理店で大活躍した主人公〈ハワード〉、彼をある悲劇が襲います。
心を閉ざし、出社しても仕事をせずに1人で何かに没頭している主人公。
彼には多くの友人と部下がいます。
本当に心の奥底から心配し、同時に悩みのタネでもありました。
主人公の奇行の1つに、妙な宛先の手紙を出していたというものがあります。
「愛」「時間」「死」に宛てた手紙。しかも本文入りです。
そして、その手紙を手に入れた友人達はある行動を起こすのであった――
この映画は「クリスマス映画」というジャンルを飛び越えるだけの深みとメッセージがこめられた作品だと、僕は思います。
人の発する言葉だからこそのエネルギー、面と向かって言い放つというアクションのパワーをモニター越しに感じられるはずです。
人は生きていく中で辛い目にたくさん遭うことでしょう。
この映画は苦しくて背中を丸めている人に喝を入れてくれるような作品であり、それでも説教臭くない。本当に良い映画だと思います。
特に劇中のウィル・スミスの表情がなんとも言えません。
何もかもを出し切ったようで、あからさまに「自分には何も残っていない」という絶望を感じさせる顔。
「アイ・アム・レジェンド」以上に寂しい背中を見せてくれます。
2023年10月、そろそろ寒くなってきました。
まだクリスマスには早いかと思いますが、寒くなったらゆっくり映画を観たくなりますね。
コーラとポップコーン、寒くても美味しいセット。
もちろん、ポップコーンはキャラメルと塩のミックス。コーラは氷をたくさん入れてちびちび飲みたいところです。
今年のクリスマスには、どんな映画が出てくるんでしょうか。
その頃には転職活動を終えて、ゆっくり映画館に行きたいものです。
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