不穏な時代を生きる少年少女のひと夏 with 謎生物

海で謎の生き物を拾ってくるところから始まる。その謎の生き物が非常にかわいらしい。ぐねぐね変形して人間の形を取ったり人間の言葉を学んだりするがあくまで異種族であるという一線を保っている。めちゃ良い異種間コミュニケーション描写があるのでオススメ。

健全な社会が営まれていない描写をこれでもかと叩きつけつつ物語が進んでいく。中学生たちの社会や将来に対する冷めた空気感をうまく伝えられている。一方で作者の特徴と言ってしまってもよい面白さのある会話劇も健在だ。

読み進めている間は面白く、そこに加えて読み終えた後に振り返ると名作だったと感じる、非常に嬉しいタイプのジュブナイルなのでみなさまも読むとよいと思います。