第6話 抱きしめた感触

「私、あなたのこと好きなのかしら?」

 カレンにそう言われて、俺の全身の血が一気に巡ったのがわかる。カレンが、俺のことを、好き?


 マジで?本当に?そんなことある?でもカレンの言うことはまさに俺がカレンを思う気持ちと同じで、それってつまりは……


「カレン!」

 思わず抱きしめてしまう。あぁ、なんて華奢なんだ。でもすごく柔らかいしいい匂いもするし、暖かくてその感触にクラクラする。どうにかなってしまいそうだ。


「レ、レオン!な、ちょっと!」

 腕の中でワタワタしているのがわかるけど、せっかく腕の中にいるカレンのことを手放したくない。ギュッと抱きしめる力を強めると、カレンは諦めたのか大人しくなった。


「カレンも俺のことを好きになってくれたんだね!嬉しいよ、とっても嬉しいよ……」


 こんなに幸せな気持ちになるなんて、カレンに本気で惚れる前の俺には絶対にわからなかったことだと思う。あの頃の自分に言ってやりたい、本気で好きになると言うことがどれほど大切で尊いものなのか。


「レオン……」

 背中にそっとカレンの手が回されたことがわかる。カレンも俺を弱々しくだが抱きしめてくれているんだ。どうしよう、やばい、マジで嬉しすぎてやばい。


「ねぇ、キスしてもいい?」

 ゆっくり顔が見える位まで体を離してそう聞くと、カレンは一瞬固まって、それから一気に顔を真っ赤にした。茹蛸ゆでだこみたいで面白いな。


「何言ってるのよ!ばか!」

 どん!と体を押されて突き放されてしまう。なんだ、ダメか。せっかく両思いになれたのに。


「レオン様、あまりにも急すぎるのではありませんか。それに私めも側にいますのでカレン様は恥ずかしいのではないかと」


 突然ゼイルの声がしてハッとする。そうか、カレンは照れているのか。なんだよその可愛さは。


「そっか、それじゃそのうち二人きりの時にしようね、キス」

 そっと耳元で囁くと、真っ赤だった顔がさらに赤くなっていく。


「ばかっ!調子に乗るなあっ!」

 また両手で突き飛ばされそうになるのを避けると、カレンが体勢を崩してよろけてしまった。


「危ないっ!」

 ギリギリのところで受け止めると、またカレンを抱き締めるような形になってしまった。


「ふぅ、よかった。大丈夫?」

 体勢を整えてカレンを見ると、カレンはまだ顔を真っ赤にしている。


「あ、ありがとう……」

 ぼそっと聞こえるか聞こえないかくらいの声で言うカレン。全く、そういう実は素直なところも可愛いんだぞ、自覚してるのかな。


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