第3話 ずっと一緒にいる
「こんにちはカレン。今日もとっても可愛いね」
カレンのことを本気で好きになってからかれこれ一週間が経った。その間もカレンの元に足を運んでプロポーズしているのだけれど、カレンはまだ良い返事をくれない。
「また来たのね。本当に懲りない人間だわ」
カレンは腕を組んでため息をついた。今までは何とも思わなかったけれど、今はそんな姿も愛おしく思えてくる。
側近のゼイルにはカレンの態度が生意気で可愛らしくないと言われるが、俺にはわかるんだ。カレンは俺を試そうとわざと生意気そうな態度をとっているって。
そんな姿も俺にとっては可愛いだけだし、そう思って見ているとカレンは予想外らしくて慌ててしまう。ワタワタと慌てる姿もそれはそれでまた可愛いんだよね。
「ねぇカレン。前にカレンが俺に結婚できない理由を言っただろう。あれの一つ目はもうクリアしてる。俺はカレンのことが好きだから、もし結婚してカレンがいつ俺のことを好きになっても全然大丈夫だ」
カレンは前に、万が一結婚したとして一緒にいるうちにうっかり俺のことを好きになってしまったら、俺がカレンを好きでないことが悲しくなってしまうと言っていた。
確かに以前までの俺は国のためにカレンと結婚したかっただけでカレンを好きなわけじゃない。でも、今の俺は違う。カレンのことが大好きなんだ。
「なっ、ばっ、馬鹿じゃないの!まだ結婚するって決まってないでしょう」
カレンは顔を真っ赤にして抗議してくる。あぁ、そんなところも本当に可愛いな。カレンが俺のことを好きになってくれたらどんなに嬉しくて幸せなんだろう。考えただけで胸が熱くなる。
「二つ目のことなんだけど、これも問題なくクリアできそうだよ」
俺の言葉に、カレンが目を見開いて興味を示した。
「竜族と契りを結べばなんでも望みが叶うという古い言い伝えの通り、過去に竜族と契りを結んだ人間は寿命も延びたそうなんだ。契りには竜族と末永く共にいるという縛りがあるらしく、文献にもそういう人間がいたと記されている」
俺の話を聞きながら、カレンの瞳はどんどんと丸く見開いていく。
「だから、君と俺が結婚すれば俺は自然に寿命が延びて君とずっと一緒にいることができるんだ。君をひとり残していったりはしないよ」
「えっ……で、でも、あなたの寿命が延びたって他の人達は違うんでしょう。あなただけが生き延びて他の人達はどんどん亡くなっていってしまうのよ。そんなの、そんなの悲しいじゃない……」
カレンは悲しげにそう言ってシュン、と項垂れた。ほら、カレンはこんなにも優しい。俺が他のみんなと別れていってしまうことを悲しんで心配してくれている。
「それなら大丈夫。他の人間も望めば寿命を延ばせるそうだから」
「はぁ?!何よそれ、聞いたことないわよ?!」
カレンはまた大きく目を見開いて驚く。表情がコロコロと変わって可愛いな。
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