第17話 ラウンズ納品

 グエンは12柱のもふもふ装備を仕上げると陽葵に完成したと連絡をした。


 「グエンさん、実物大フィギュア取りにきましたよ。」


 「オイ!このくそドワーフ!手は抜いてないだろうな!」


 「コラ!コフェン!グエンさんに失礼でしょ!」


 「失礼しましたクラフツマン熟練職人グエン」


 「オイ、もうこいつの悪口には慣れたから気にしなくていいぞ。」

 グエンは笑いながらコフェンを撫でた。


 そこにはずらりと立ち並んだ12柱のもふもふイケメンが並び壮観だ。


 「嬢ちゃん、エネルギーは充填してある、あとはそれぞれ名前をつけてくれ。」


 名付けセンスゼロの陽葵は、ここはコフェンに頼ることにした。


 「最適解、それでは強い神の名前でもつけてはいかがでしょう。」


 「それな!」


 陽葵は軽く決めてしまった。


 「それでは名前を12生成します。」


 「くびら宮毘羅

 「ばざら跋折羅

 「めきら迷企羅

 「あんてら安底羅

 「あにら頞儞羅

 「さんてら珊底羅

 「いんだら因陀羅

 「はいら波夷羅

 「まごら摩虎羅

 「しんだら真達羅

 「しょうずら招住羅

 「びがら毘羯羅


 「なんかカッコいい!決まり!」


 陽葵はイメージの合うフィギュアにそれぞれ名前をつけた、これでこの12柱のもふもふは名実共に陽葵のラウンズ取り巻きになったのである。


 「でもどうしよう、フェンリルさんが人型になったら客車を乗せてもらえないね、不便になったな。」 


 「薬師さま、我々ラウンズはフライングオートマタですので全員飛ぶことができます、屋敷までお送りできますよ。」


 そう言うとくびら宮毘羅は陽葵をお姫様抱っこして空に舞い上がった、残る11柱とコフェンも追随する。


 「ひょえーーい!」


 陽葵は奇声をあげ13歳の中学生らしくハイテンションで楽しんでいた。


  ラウンズ十二神将製造にかかった費用。


 しめて1兆415億ディナール。

 (日本円換算でおよそ1兆2000億円)



 まさに傾国の13歳の美少女、暴虐の陽葵の名前に恥じない所業であった。


 いきなりすっ飛んで行ってしまった陽葵を見てグエンは慌てて大声で呼び返す。

 「ちょ!じーょうちゃーん!わーすーれーもんじゃー!」


 陽葵のはるか下方からドワーフグエンの声が追いかける。


 「薬師さま、グエン職人が何か呼んでいるようですが?」


 宮毘羅が陽葵に言った。


 「え?そうなの?ごめん宮毘羅、戻ってくれる?」


 「承知いたしました、戻ります。」


 ラウンズ十二神将には例の12カ国セットの魔導石が組み込まれている。


 言葉遣いなどもコフェンと比べて丁寧だった。



 陽葵と12柱のイケメンもふもふが改めて地面に降り立つ。

 

 グエンは喉を枯らし、


 「嬢ちゃん!慌てすぎじゃぞい、そのコフェンの拡張フライヤーを忘れとるぞ、あっちのコンテナにあるわい、ついて来い。」


 そう言って陽葵を誘導する。


 それは20人は乗れるであろう「もふバス」※「ネコバス」のようなものと考えてください。


 だった。

 コフェンがふわふわ専用操縦席に着地するともふバスが起動して生き物のように動く。


 「おまえさん、フェンリルに負担をかけすぎないように依頼しとったやつじゃ、金に糸目をつけとらんからフェンリルに匹敵する飛行速度にチューニングしてある、これでフェンリルと並んで飛べるぞい。」


 ※陽葵はすっかり忘れているようです。


 こちらのフライングもふバスの製造費用は5525億ディナール、日本円で6000億円ほどだ。


 さらに傾国、、、


 「ご主人さま!僕のもふバスに乗って乗って!」


 「コフェン!家まで送ってくれるの?そしたらみんな〜!もふバスに乗って!」


 「了解しました、薬師さま。」


 ラウンズ十二神将もゾロゾロと乗り込む、フェンリルは最後に乗った。


 グエンが続ける。「ワシの全てを注ぎ込んだ最高傑作たちじゃ、嬢ちゃん!楽しんでくれ、ありがとよ、これが説明書じゃ、あと1年保証もついとるでな。」


 グエンが大きな風呂敷包みの説明書束をもふバスに積み込むともふバスは浮揚し、陽葵は自分の屋敷に帰って行った。

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