第5話 惑星大直列
ディ・タカンドラ世紀2000年の初頭、サルバドールが58歳になった頃、500年ぶりの
※惑星大直列とは太陽と太陽系の惑星が一直線上に並ぶ現象、恒星と惑星の引力により宇宙空間になんらかの歪みや影響を及ぼすと考えられている。
王立大学の天文学教授であるサルバドールも多くのメディアに引っ張りだことなっていた。
ヒト族の寿命は平均で60歳であったが、幸いにもサルバドールはまだまだ健康であった。
それでもマリア先生は相変わらず13歳の少女の姿を維持して変わらず美しいし、親友のグエンも長寿族のドワーフらしく若者の姿を維持していた。
サルバドールは風呂で閃いたあの日からこの惑星大直列を心待ちにしていた。
残り少ない自分はもはや思い残すことはない、いや、思い残すことといえばマリア先生ともっと長く一緒にいたい、その思いだけは自分の全てを含有するほどの心残りと言えるかもしれない。
親友のグエンにも話すことはなかったが、サルバドールは「その日」に魔洞窟に入ることを決心していた。
何が起こるかわからない、身体が弾け飛ぶだけかもしれない、どこか別の次元の狭間に挟まれて
およそ学者らしくない思考をサルバドール自身も
でももし不死の身体が手に入ったら。
長寿のマリア先生に改めて自信を持ってプロポーズし、長寿の俺ならマリア先生も愛を受け入れてくれるかもしれない。
そんな妄想に時々クスリと思い出し笑いをするのである。
「おいサルル!最近はメディアに引っ張りだこじゃないか!羨ましいぜ、王国一の人気者だな。」
今日も親友のグエンと行きつけの酒場でくだをまく。
「今ならマリア先生に結婚を申し込めばOKしてもらえるんじゃないか?」
二人はあれからもマリア先生へのアタックを繰り返して共に
「そうだな、でも実は秘策があるんだ、まだ言えないが楽しみにしていてくれ。」
「なんだーサルル!親友の俺にも話せないのかよ、まさか
グエンがサルバドールの胸ぐらを掴む。
まあ、いつもの光景である。
「そんなことはしないさ、もちろんその時が来たらお前にだけは話すさ」
そうして惑星大直列の日はやってきた、だが今回の惑星大直列ではとんでもない
巨大な知的生命体である進化ドラゴンの群れが魔洞窟に
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