第3話
試験の時間になり、辺りは静かになっている。
壇上の前に、黒髪ショートで褐色のアスリートだと思わせる女性が現れた。
「受験生の諸君、今からフォースの入団試験を行う
試験内容は2つの実技試験。1つ目は大量の敵を殲滅する試験。2つ目は人型侵略者を殲滅する試験だ」
「我々は弱い団員を必要としない。試験の内容は命を落とすものもいると想定した内容の難易度だ。最後に、引き返すのならここだ」
女性の説明は淡々として力強く、空気は重くなっている。
周りを見てみると、固唾を飲んでいる者。試験会場から帰ってしまう者。
もちろん、私は妹たちのためここから去る事はない。
「わかった。ここに残ったものを試験受験者として認める。その決意に敬意をもって、私の名前を紹介する。」
「1次試験総責任者 土御門 操。諸君の命を奪ってしまう悪魔だ」
淡々と話しているが、一瞬変な間が開いてしまっている。
責任でも感じているのだろうか。と一瞬考え込んでしまう。
「では、試験会場に案内しよう。私の前に扉を持ってくる。そこから試験会場に向かう」
黒服を着た女性たちが黒いモーフをかけられた台車を持ってきて、台車からドアを取り出してきた。
ドアは木製で変哲もなく、未来の技術を感じることはなかった。
おそらく、能力でつくられているのであろう。
「前から並んで、1人ずつ扉に入れ」
受験生たちは列になり、扉に流れ作業のように入っていく。
私もそれに乗って、扉の中に入り込む。
扉の向こうには森林が広がっていた。
広葉樹が生い茂っており、光は完全に遮断されている暗黒の世界。
私は樹海の中に迷い込んでしまった。と勘違いしてしまいそうだ
凄い!!今まで体育館の中にいたのに。
実質どこ〇〇ドアじゃん。ネコ型ロボットの発明品みたいだな。
夢が一つ叶っちゃった。
「受験生、全員集まったみたいだな。では、1次試験の説明を始める。1次試験は大量の敵を殲滅する試験。大量の敵は私の能力で作られる」
土御門はしゃがんで、土に触れた。
地面がもっこりと盛り上がり、何かの形を作ろうとしている。
盛り上がった土は、徐々に人の形になってきている。
RPGで、防御力がやたらに高すぎるゴーレムが完成されてしまっている。
「私のホルダーはゴーレム創成。土に触れれば簡単に作ることができる。防御力に関しては目で見たほうが分かりやすいかな」
土御門はポケットから銃をとりだして、ゴーレムに向けてバンバンと銃弾を撃ち込んでいる。銃弾はゴーレムの体を貫通することはなかった。
「ゴーレムは銃で撃たれても死なないし、一発でも殴られたら死ぬように設定している。ゴーレムを最低100体放つから殲滅すればいい」
強いゴーレムを簡単に生成できるうえに、100体も作れるのか。
さすが、フォースのメンバー。強キャラだわ。
「採点方法は、ゴーレムを倒せれば10点。一度の攻撃で倒せるものも多いと思われるため、アシストすれば3点。アシストされてたものを倒せば7点。試験時間は30分。点数の高い上位30人を通過とする」
冷静に考えれば、私やばくね。
私の能力って、攻撃力がない。アシストで点数を稼いでいくしかない。
私の残された道は誰かと組むことしかないのか。
そもそも組めるかどうかも分からない。
「質問はあるか?」
あるよ!!あるよ!!あるよ!!
私みたいな攻撃のない能力に救いはないのですか?
「アシストって、具体的になんですか?それと誰かと組むのはありですか?」
私は必死に手を上げて、質問権を奪い取っている。
「ゴーレムの体を縛ったり動きを止めたりすること。あるいはゴーレムの体の一部を破壊してとどめを刺しやすくする。致命傷につながる行動のことを指す。その判断は我々の独断でさせてもらう。誰かとチームを組むことは問題ない」
「採点って、どうやりますの?見たところ監視カメラ等はありませんし、私の美しき実績をずっと見張っていらっしゃいますの?」
茶髪のミディアムヘアの女性が手を上げて質問している。
彼女は黒いスーツを着ているが、背中に1mくらいの大きな斧を背負っている。
スタイルは普通の女性とおなじくらいのに、どこにそんなパワーがあるのだろうかと疑問が浮かぶ。
PVに映っていたな。
この子ってたしか、天王寺メイ。
メインキャラだからか、見た目のインパクトが凄いな。
それにしても、自信に満ち溢れているな。さすがメインキャラ。
「諸君の動きは、コードネーム『フェアリー』のホルダーにより常に監視している。
コードネームが監視しているから、君たちの動きは全部把握できる」
コードネームとは、フォースの中で成果を残した隊員に与えられる称号のようなものである。コードネームがあれば、国から1億を支援してもらえるくらいの権力があるとのこと(ネットの情報のため信用度は低い)。
コードネームという単語で、思わず静粛されてしまった。
この言葉の重みが伝わってくる。
やはり、コードネームは伊達じゃないな。驚嘆させている。
「どうやら、ほかに質問はないように見える。10分後、試験開始だ」
土御門はこの場を去ってしまった。
攻撃力がある人って、だれなんだろうか。
私の予想としては、天王寺メイ・碧香澄はおそらく1次試験は通るほどの攻撃力はある。
天王寺はお嬢様のような話し方しているし自信家だから、プライドが高かそう。
プライドのせいで、交渉もできなさそう。
しかも、天王寺は周りに人があつまっており、交渉することすらもできない。
おそらく、みんなも同じ考えであろうか。
確実な選択肢として碧か……
嫌だけど……妹たちの生活のために合格しないと。
だから、お姉ちゃん頑張る
受験生の集団の中から、かき分けて変態サイコパスレズ女を探す。
銀色の長い髪のスレンダーな女性の後ろ姿をようやく見つけることができた。
「りん。寂しくて私に舐められに来たか?」
「碧、私と組んでくれませんか?」
「ただ、汗がおいしいだけでは簡単に組むことはできないな。まず、りんと組んでメリットがあるかどうかが分からない。能力を教えてくれ」
碧に能力を説明しながら組むことのメリットをプレゼンし、少しでも合格の可能性を上げたいと願っている。
「りんの能力はサポートに向いているし。木がたくさんあって、移動も便利なのは分かった。人で試してはいないんだろう?」
「人にはまだ試していないです。ただ、自信はあります」
「分かった。汗を舐めさせてくれ。それで判断する
りんの自信が本物かどうかを確かめさせてくれ」
真剣な表情で私を見つめており、私自身を試しているようだった。
こいつは獣だ。
ただ、舐めたいだけの可能性もある。
本性を探るしかないな。
「一つ聞いていいですか?性的嗜好はあります?」
「もちろんある。80%が性的に行いたい。そして20%が君と組むか考えるためだ」
『変態だ~~~!!』
こいつ。堂々と性的って答えているって狂っているな。
だが、今の発言ではっきりした。こいつは嘘をつかない。
クレイジーサイコパスレズだが、信じられる。
20%もあれば十分だ。
「分かりました。どうぞ」
一番深いと感じない場所を差し出して、精神的ダメージをなくそうとしている。
碧は舌をねっとりと私のしわに沿って舐めあげており、手のしわの溝に溜まっている汗すらも吸い取りつくしている。
『あ~♡♡、意外に気持ちいいな』
碧の舌の柔らかくて暖かくて心地よさと、感じたら負けと気持ちが襲ってくる。
「自信は本当にあるみたいだね。分かった。5分間、りんと行動してやろう。その後は結果次第で考える」
「ありがとうございます」
フォースの合格をするためにはサイコパスレズと同盟を組んでしまった。
これは妹たちの生活のためだ。しょうがないか……
「りん、君はやはり面白いね。守るべき嘘のために私に魂を売ってしまうなんてね。
本当の絆だったら、美談になるのに」
悪魔に魂を売るということで、心の中に気持ち悪さが残ってしまっている。
そう、これは罪なんだ。と私は分からされている。
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