第45話自己紹介①


ピキっ


「…誰が何を怖いって」


人形みたいに整った顔が無表情になると不気味だな。




「自分の力が通用しないのが」

俺は句切って、言う。



「怖い?」


…。



「一度、僕に勝ったぐらいで調子に乗るなぁぁ!!」

俺に向かって戦闘人形が飛びかかる。




ボソッ


「…連帯責任」



「「「「「!?」」」」」



俺がそう言うと俺の前に結界が張られ、飛びかかろうとした戦闘人形は黒い鎖に縛られる。



そして、デビはニット帽に押さえつけられ、首に薙刀の刃とサーベルの刃があてられる。


「くっ。お前等!!」



「あははは…。デビデビごめんね」


「俺っちのことバカバカ言うすっけど、デビも学習能力ないっすね」

「ギルッ!!」




その光景を見たクマは言う。

「調教されているクマ」




俺は拘束されているデビの元にゆっくり近づく。


「く、来るな!」



俺はデビと選手に選ばれた奴に向かって言う。


「悔しい?」


「おまえぇぇ!!」

デビは抵抗から抜け出そうと暴れ出すがニット帽の方が力が強く振りほどけない。



「ちょっ。あんまり暴れないでほしいっす」

「ギルッ離せ!!」


「離したらこの人に殴りりかかるっすよね!?俺っち、もうボコボコにされんのイヤっすよ!!」


ニット帽は沈痛な思いを叫ぶ。



俺はそれを無視して選ばれた選手たちの顔を見て言う。



「全員納得してない」

「当たり前だろ!」


デビの声に同調するように選手たちは俺を見る。



「なら報酬」

「はっ、あんなゴミみたいな報酬ほしいと思うかよ」

「追加報酬2つ追加」




「もし戦争でどの国にも負けなかったら」


これは賭けだ。俺は普通こんなことをやらない。




「一発殴る権利と一回ただ飯」


…。



「ら、ライアン氏…。それは誰を殴る権利ですか?」

「俺」



…。



「あんた正気?」

和風ギャルが聞いてくるので俺は言う。




「どうせ弱いから勝てない」


俺がそう言うと「アハハハハ!」と笑い声が部屋に響く。



比較的まともだと思っていた海賊眼帯が狂ったように笑っている。だが、すぐに獰猛な笑みを浮かべ俺を鋭く睨む。



「やってやろうじゃないの。海賊らしく勝てると思って参加したやつらを殺しつくしてやる」


「ミナトさん…このイベントは殺しが目的ではありませんよ」


「いいじゃない。どうせ参加者は殺すみたいなもんだから。それに私をバカにしたやつも殴れるのよ。ラッキーじゃない」


「まったく、ミナトさんは…」




楽しそうな会話が部屋に響き渡ると次々と選手たちが言葉を発する。


「はい!はい!監督に質問っす。もちろん一回ただ飯は監督のおごりっすよね?」


俺は頷く。




「他人のお金で食べる飯はうまいっすから。うれしいっす」

喜びのあまりニット帽がデビの押さえつけている手を離す。



それにより拘束から解放されたデビは油断しているニット帽に一発顔に拳を叩きこもうとするが、ニット帽の手に阻まれ失敗する。



「生身のデビじゃ、おれっちには敵わないっすよ」


「ちっ。離せ」


デビはニット帽の手を弾く。



そして俺に体を向け、「ちゃんとその言葉守れよ」と言いデビは俺から離れ、前髪のところに行く。



デビは鎖を指さしながら言う。


「おい。早くこれ解け」

「…。」


前髪は何も言わない。たぶん先ほど闇魔法を侮辱されたことにまだ、怒っているんだろう。



「話し終わるまで拘束しといていいですわ」

「はぁ?」


「だって、話が進まないんですもの」

「ふざっ…もごもご」


前髪がデビに対してチェインと声封じの魔法をかけたため、デビは大人しくなる。



「では、さっそく話を進めていきます。先ほど言った通りこの部屋に集まった13人は2か月後のイベント、エリクサーをかけたイベントに参加してもらいますわ。そして、堀川総理からわたくし空野リリーがキャプテンに任命され課された目標は今、日本と対立する国に勝ち、日本の危機を救うことですわ」




「あー。あれっすよね。リリーちゃんの祖…」

「ギルさん、デリカシーを覚えてください」

「アンナの言う通りよ」




女性陣が見たことないくらい冷たい目でニット帽を見る。それにはニット帽も耐えられなかったのか直ぐ謝った。



「謝らなくって結構です。わたくし、空野リリーの祖国は日本の祖国のために全力を尽くしますわ」


リリーはもう日本のために戦うと覚悟を決めている。




「そして本日集まってもらったのは、選手同士の顔合わせと能力確認ですわ。まずは自己紹介を。わたくしは空野リリー。職業はサモナーで光魔法の召喚獣と風魔法の召喚獣、ルーとポチともに戦争に参加しますわ」


リリーはそう言って、ルーとポチを召喚する。




「では、お次は…」




「はいはい!おれっちのハンター名はギルで職業は狩人っす。今、絶賛彼女募集中っすけどここにいる女の子は怖くて彼女にはしたくな…」


ニット帽は最後まで言い切ることはなく、女性陣に沈められた。




「では、次は俺だな」


リリー、ニット帽と右回りに自己紹介していったのでニット帽の隣にいた紫苑が自己紹介する。




「ハンター名は紫苑。職業は魔法剣士だ。今回のイベントは自分の実力がどのくらいなのか知るいい機会だと俺は思っている。全力で取り組むことを約束しよう」




「紫苑君は彼女とかいるのかな?いないならお姉さんとかどう?」


と、海賊眼帯がなんか変なポーズとって言うので極力目に入れないようにした。




「おばさんのまちが…」


「殺す」


そう言って海賊眼帯がサーベルを抜いてニット帽を追いかけて、話が進まないのでニット帽も拘束しといた。


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