第43話日本最強
陰キャが気絶すると魔法が消えてデビの拘束がとかれる。デビはそれには触れず俺を睨み続けた。
「僕を助けたつもりでいるなら頭がお花畑だね!!」
俺はその態度にムカついたので顔に往復ビンタしてチェインで拘束する。
「おい!ふざけるな!!これを解けっ!!」
ぎゃぎゃーと五月蠅いのでついでに15分声が出させなくなる呪いもかけといた。
「…。」
俺と紫苑は静かに向き合い、剣を構える。
次の瞬間、紫苑は斬撃を飛ばしてくるので、俺はそれを避けながら地面を思いっきり蹴り紫苑に迫るが、紫苑の光の剣に防がれ距離を置かれた。
…これは前と決闘と同じパターンになるな。
【紫苑が魔力切れで先にギブアップだ】と思いながら魔法を刀で弾いたら、何と紫苑が接近戦を仕掛けてくるではないか。
紫苑は忘れたのか?俺に接近戦でボコボコにされたのを。
紫苑の行動に落胆しながら打ち合いを始めると、俺の方がスピードが早く次々と紫苑の体には傷ができ始める。
このまま刀を首に当てて降参してもらおう。
そう思いながら俺は抜刀の構えを取った。この構えの方が刀は数倍早く絶対に斬れるから早く戦いを終わらせるのに適切だ。
だが紫苑は俺の予想を超えた。
なんと紫苑はこの構いに警戒せず突っ込んでくるではないか。
耄碌したか!
俺は刀が届く範囲に迫った紫苑を…
「はぁぁあ!!」
俺は紫苑がうっすら光りながらスピードが上がるのを感じた。そのスピードは通常の俺のスピードに届く。
…。
「う、うそですの。まさかライアンと引き分けなんて…」
「いや。俺の負けだ」
そう言って紫苑は首を振る。
「ライアンが刃を止めてなかったら俺は死んでいた。それに俺の攻撃は致命傷ではない」
そうなのだ。
俺は首に刀を当ててるが紫苑は腕の関節部分で剣を寸止めしている。俺は心臓に向かっていた剣先を体をひねりずらしたのだ。
紫苑は悔しそうにしながら「ザド!次はお前の番だ」と言う。
俺は今まで戦闘に参加しなかった壁に寄りかかる体中傷だらけの甚平服の男を見た。
「…。」
ザドと呼ばれた男は目を開けて壁に寄りかかるのをやめ、俺のほうに歩いてくる。
「監督なら選手の取りやめができるか?」
「なぜ?」
「戦争とやらに興味がないからだ」
それに対してリリーが言葉を返す。
「無理ですわ。そんな理由で選手取りやめができるはずがな…」
「やってもいい」
俺が許可を出そうとするとリリーが止めに入る。
「ちょっと。ら、ライアン何を言っていますの!」
俺はリリーを無視して話を進める。
「ただし条件がある」
「…なんだ」
俺はリリーを指さしながら言う。
「勝てたら許可出す」
「!?」
相手は初めて表に感情を出す。
「俺をバカにしているのか?そこにいる小娘はプレイヤーになって一か月ぐらいだぞ…」
「バカにしてない…それに」
俺はリリーを見る。
「俺の弟子は弱くない」
「ライアン…」
リリーは泣きそうになった顔を切り替えて言う。
「あなた、わたくしに負けるのが怖いのかしら?」
「何を言って…」
「わたくしはこのチームのキャプテンとなるもの。あなたごときに負けるわけないにいかないのですわ!」
そう言いリリーは召喚獣を召喚する。
「ひねりつぶしてやる」
ザドと呼ばれた男は背に背負った大剣をリリー向ける。
俺はそんな様子を見ながら壁まで下がる。そんな俺に近づいて紫苑は言葉を発した。
「いいのか?」
「何が?」
「ザドはライアンが現れるまで日本ハンターで最強と謳われていた。リリーさんには荷が重いと思うが…」
「見てればわかる」
「…そうか」
紫苑はそれ以上何も言わず、リリーとザドの戦いを見守る。
リリーは今回、ポチに騎乗しないで戦いにのぞむらしい。
先に動いたのはリリーだ。リリーはザドに速度低下魔法や防御力低下魔法をかけて、ザドに向けて短剣を持って走り出す。
「!?」
リリーのスピードはザドにとっては予想外だったらしい。リリーは共鳴を使い、ポチのスキル俊敏と風魔法を足に付与しているためそこらの高プレイヤーに負けないスピードがある。
だがそんなスピードだけのリリーの攻撃はザドにとっては屁でもないらしく、すべて大剣で防御する。
それを見たリリーはポチの風魔法を使って空中を固めてその足場を作り、空中も使って全方向から剣戟を披露するがそれでもザドには届かない。
ザドが反撃の姿勢を見せると召喚獣のルーがザドの周りに光魔法インパクトがいくつか放ち、視界や音を封じる。
そんな中、リリーはそのインパクトの光や音を利用していつの間にかザドの正面に迫った。戦闘に参加していなかったポチも戦闘に途中から参加した見事な連携だ。
召喚者のリリーの攻撃は剣で受け止められるが、ポチの攻撃はあたるそう思った…だが日本ハンター最強が隠し玉を持っていないわけがなかった。
「ガーーーーー!」
赤いオーラの衝撃波がザドを中心に外へ放たれ、それを受けたリリーとポチは壁近くまで飛ばされるが軽やかにに着地をする。
そして衝撃波を放ったザドは赤いオーラを身にまとう。
「…鬼」
ザドの額からは赤い角が二本生えており、先ほどより存在も魔力も上がった気がする。
ドン!
「!?」
ザドは一瞬でリリーに近づき剣を斜め上に振るう。リリーはぎりぎりそれを短剣で受けるが、受け止めきれずに空中に飛ばされた。
「ライアン止めなくていいのか!」
隣で紫苑が何か言っているが無視する。
ザドは力の影響で理性が飛んでるらしい。
そのままザドは地面を蹴りリリーを飛び越えて上から下に剣を振るい、リリーは…
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます