第42話癖のある選手

「やれ」


その声が聞こえた瞬間に俺に向かって何かが迫る。


剣や斧を持ったのっぺらぼうの関節人形が4体。上と真正、左右に展開された同時攻撃。



「はぁー」

俺は剣を抜かずに気を体の外に一気に出した気圧だけで戦闘人形を吹き飛ばす。




「!?」

その気圧を感じ取った奴らは剣の柄に手をかけるなど戦闘態勢に入り、収拾がつかなくなってしまった。



シーン



「な、ライアン大丈夫ですの!?」

そう言ってリリーが俺に近づいてくる。



そん中、部屋に突然笑い声が響く。


「ぷっはは!!デビ、全然ダメじゃないすっか」

そう言ってニット帽をつけた男が床で笑い転がる。



「ギル…殺すぞ」


笑われた思われる金髪碧眼の人形ような少年が殺気立った。その少年の周りにあと、1体の戦闘人形が横に待機しており、こいつが俺に戦闘人形をけしかけたのだろう。



そして今度は槍を持つ戦闘人形が矛先をギルと呼ばれた男に向けた。



「ちょっ、勘弁してほしいっす」



とニット帽は転がりながら槍を避け、曲芸みたいな動きを見せる。



戯れているところは悪いがここに俺は遊びにきたわけじゃない。それになめられぱなしじゃ格好つかないな。



そう思い俺は気と共に殺気をこの部屋にいる奴らに飛ばす。



「ひっ」

一人は気絶して脱落。まぁ、こいつには戦力は期待してないからいいけどこの程度の殺気でへばるなんて情けない。後で個別特訓追加するか。




そして部屋にいたやつらはなんのつもりだと殺気立ちながら、俺を見るので俺は調子づいているこいつらの鼻っぱしらをまず叩き居る。




「試験を始める」

「はぁ?何言ってんのかマジ意味不~。あんたに何の権限があるわけ?」


と、ポニテの学生服に身を包んだ口の悪い黒髪ギャルが薙刀の刃を俺に向けそう言ってくる。



「監督権限」


そう50階層を攻略した俺は監督として、選手を鍛えてほしいと頼まれているのだ。


だから、俺に刃を向けた愚か者との距離を一瞬でつめ腹を蹴り、敬い方を体に叩きこむ。



「!?」


ドン!

「がはっ」


うん。

さすがにノックアウトしないか。直前で腹に魔力を集中強化して耐えた。



その証拠に…

「ゴホゴホっ…てめぇマジぶっ殺っころす」

殺意を出して俺に向かってくるではないか。



「ちょっちょっ。ライアン!なぜ選手に手を出してますの!?」

後ろから、あわあわしているリリーがいるのでしょうがないから答えた。



「試験」


「はぁぁあーー!!」


和風ギャルの薙刀の刃がすぐそこまで首に迫っているので、俺はタイミングを合わせて薙刀の刃を手で掴む。


「嘘っ!?」

そして次は体に魔力をはりめぐらせ、強化し壁まで和風ギャルを蹴り飛ばす。



ドンーー!!


先ほどより音を立てて壁にぶつかり和風ギャルは動かなくなった。



「次」

そう言い、俺は固まっている奴らを見る。



「あはは…アヤをあんなに簡単に…」

「ミナトさん警戒してください!あの方私達を見ています!!」


次は海賊服に眼帯のグラマー美女と白い杖をもった魔法使い風の服を着た黒髪ぱっつんの少女だ、と思いながら歩き出す。



だが、それを邪魔するように弓の雨が俺に降り注ぎ、避けると銀髪碧眼の男、紫苑が剣を抜いて俺に襲い掛かるではないか。



その攻撃をいったん避けるために距離を開けると…

「ひゅーーさすがっすね。俺っちの攻撃を避けるなんて!」


そう言ってニット帽の男は的確に俺に弓を首、心臓、足を狙って同時に放つ。




その攻撃を俺は刀ですべて弾き、後ろからこっそり転移された攻撃魔法をすべて結界魔法で受ける。



さすがに何発も受けると、われるので俺は地面を転がり脱出する。



その瞬間、攻撃魔法に隠れて迫っていた槍を持つ戦闘人形2体が俺を串刺しにしようと矛が迫るので一つは結界魔法で防ぎ、もう一つは刀で下から上に向かって弾き、体勢を崩した戦闘人形を闇魔法のチェインで拘束する。



戦闘人形は壊してもいいがあとから弁償やら文句を言われそうなどで壊さないでおく。



「さ、さすがライアン氏。前あった時よりも魔法の制御が上がっている…き、鍛えたかいがあるものです…」


「ちょっと!!今、聞き捨てならないこときいたんだけ!?」

「ひっ」


デビと呼ばた少年が前髪を睨みつける。




さすがに連携されると面倒などで、まずは雑魚から処理する。



「陰キャ!合わせて!」

そう言って海賊眼帯が魔法を発動させる。




「ダイナミックウェーブ!!」

前髪が水魔法を転移させたので津波が俺に四方に迫る。




それに対して俺は「…転移」を発動させる。


俺は海賊眼帯と前髪ぱっつんの元に転移するが転移の座標が少しずれため攻撃が遅れた俺の拳は、前髪ぱっつんの結界魔法で防がれる。



防がれたなら…先ほどより強い力でやるまで。そう思い俺はもう一発、拳で結界を殴り破壊する。



「!?」

驚きに固まっている2人の頭を鷲掴みにして俺は魔法を発動させる。



「…スリープ」

バタッ。



「マジっすか?転移魔法も使えるなんていくつ魔法適正あるって言うんすっか!」

「…転移」



次は目視出来たので正確に転移できたが…俺が後ろに転移した瞬間、ニット帽は腰の短剣を抜き、俺に反撃してきた。



なので俺は短剣を避け、ニット帽の顎をアッパーして気絶させることにした。




「はっ、僕をバカにしたくせにザマーないな」

「言ってる場合か…」


「君も早く、突っ込んでいってやられればいい」


デビは紫苑に喧嘩を売りバチバチになる。



「い、今喧嘩は…」

「五月蠅いよ。僕に指図しないでくれる。闇魔法とかくだらない魔法を崇敬している分際が」


「今何と…」



デビはバカにしたように言う。

「くだらないって言ったんだよ!!」



戦闘人形が次々と前髪に迫るが、陰キャは気にせずその攻撃を一瞬で展開した闇魔法のチェインですべての戦闘人形を封じる。



「くっ」

封じられた中にはデビもいて、悔しそうな顔で前髪を見る。



「闇魔法の深淵ものぞけない愚か者が。その身に刻むがいい」



そう言って闇魔法をバカにした愚か者に前髪が鉄槌をくらわそうとしていたので、後ろからこっそり近づき前髪の首に手を当てて気絶させる。


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