第41話実力測定
「見飽きた」
「ちょっ。ライアン何を言ってますの」
俺はハンターの実力測定を見ること2週間、めぼしい選手候補がいない。俺は日本ハンター協会のハンターはこの程度かと思いながら適当に審査をする。
ピンとくる奴がいないんだよな。
「ライアンハンターのお眼鏡には叶いませんか?」
「秘書…」
「まぁ。癖のある実力のあるやつは実力測定とかやりたがらないからな。だから後回しにしているんだろう」
支部長がそういうのなら、強い奴らは最後辺りに来るんだろう。
「次、18256番 紫苑ハンターお入りください」
お?
銀髪碧眼の知り合いが中に入ってきた。
「紫苑ハンター。戦闘試験、魔法試験、技術試験、耐久試験、治療試験、アピール試験どれを受けますか?」
「戦闘試験と魔法試験を」
「分かりました」
戦闘試験は、機械ゴーレムや戦闘人形が守る木の的を破壊する試験だ。機械ゴーレムも、もちろん試験者に攻撃をするため怪我のリスクがあるから、レベル帯によって相手も変えられている。
Lv.40以上のハンターが中心に実力測定を厳しく見られる。なぜならその者たちが選手候補だからだ。紫苑は、Lv.40以上を超えているためその対象に入っている。
そして紫苑が相手にする機械ゴーレム5体だ。途中でギブアップも認められている。
ドカーンーー!
機械ゴーレムが爆発した音が辺りに響く。
ジューーー
機械ゴーレムの斬られた断面は高熱を発せられている。
一瞬だった。
紫苑が剣を振るうと光の斬撃が木の的に向かって飛び、その攻撃に割って入った3体の機械ゴーレムごと、的は真っ二つになった。
紫苑は俺の気の斬撃を光魔法を剣に纏わせて再現したのだ。
紫苑は会場を後にする前に俺に向けて「ライアン、直ぐにお前を超えて見せる」と言い、俺はその挑発に対し口角を上げ「やってみろ」と答えた。
それから紫苑の試験は続き試験官が納得する成果を出し、実力測定を終了した。
紫苑が実力測定を高得点を出したのをきっかけに次々と逸材が現れるではないか。その中でも4名は俺と違ったベクトルの強さと技術を持ち合わせていた。
「ライアンはどの方がいいと思いましたの?」
「ん?こいつとこいつとか」
「そうですわね…でも、その方々達ちょっと性格に難があると思うのですけれど」
「強ければいい。それに鍛えがいがある」
「あれを目にして、鍛えがいがあると感想が出てくるのはライアンくらいですわよ」
リリーは今回、日本代表のキャプテンだ。あの問題児どもをまとめ上げなければならないのに今、弱気なのは困る。
俺との戦闘回数を増やすか。
「ひっ今危機察知に何か…」
「気のせい」
そうして、俺たちは試験官としてハンターの実力を測り終え、選手候補をピックアップしていく。
「ではこの11名を日本を背負う選手として決定しますわ」
「分かりました」
そう言い、秘書は選手の資料を持ってこの部屋を出る。
「それにしてもライアンあの方はあまり強そうに見えませんでしたけど、選手に入れて大丈夫でしたの」
「最終決定はリリー」
「そ、そうですけど…。」
自分の判断が正しいか心配なのだろう。俺は実力測定が披露された技術を思い出し確信する。
「あれは守りの要になる」
それにしてもリリー、まだ1か月ぐらいしか経ってないのに日本語が上達したな。プレイヤーになると学習能力が上がるからか?
そういえば…
「リリー何処に暮らしてる?」
「と、突然ですわね。わたくしの身柄を守るために教えてはいけないんですけれど…」
「ならいい」
「聞いといて、興味をなくさないでくださいまし!」
リリーは頬膨らませてぽこぽこ叩いてくる。
「ライアンだから教えますけれどわたくしは今、ハンター陰キャの研究所に居候をしておりますの」
?
「なんで前髪のところ?」
「ハンター陰キャのお知り合いでしたのね。なんでもあの研究所がもっとも安全なところですということでしたの」
あぁ。確かに戦闘人形や罠やらたくさんあったし、研究所の一定区間、開けたところになんか黒い神官服を着た人たちの集落みたいなのあったもんな。
それに前髪は強いからリリーを守れきれるだろう。
だがあの性格でよくOKしたな。
「なんでも、わたくしの呪いや闇魔法に関心があるらしいですの」
「そうなんだ」
「ですけどミヤさんという方が居られないと会話らしい会話を出来ないので、ミヤさんもわたくしと同じくハンター陰キャにお世話になっているのが現状ですわ」
俺は思った。あの陰キャ策士だと。
この俺の考えが陰キャが知れば「ご、誤解です!?」と言いそうだな。
ー1週間後ー
「ふわぁーー」
「ライアンが寝坊したせいで、30分もおくれてしまいましたの!どうしますの!?」
「なら、先に行ってればよかった」
「待ち合わせしといて、先に行けるわけないですわ」
律儀だな。海外では15分とか普通に遅刻するって聞いたことあるけど。
「はぁはぁやっと付きましたの。この扉の先に選手たちがいるらしいですわ」
ん?
リリーが扉に触れようとしていたので、俺はそれを止める。
「な、なんですの?」
「リリー離れる」
「?」
「離れる」
リリーが疑問符を浮かべたまま扉から離れたのを確認し俺は扉を開ける。
「やれ」
ソプラノボイスの声が聞こえた。
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