第31話 『寒之界』(かんのかい)、試煉(しけん)

寒冽、寒凜は前に進んで寒い日々をじっと見つめ、年月天を一瞬見上げて彼らを疑問に思っていた。


寒冽は手に持った扇子を軽く振りながら先に口を開いた。

「彼女が年姬の子供なのね、年姬の雰囲気を感じるわ。」


寒凜は手に持った蓮の花を橫に置き、この時、月の花のような蓮の花が空中に浮かび、寒凜が年月天の顔を軽く撫でながら、彼のハリのある顔をつまんで言った。


「本當に似てる、似てる、彼女の子供時代にそっくりだ。」言い終わると、月の花を手に取り戻した。


「準備はいい?年月天。」寒凜と寒冽が一斉に言った。


年月天は頭をかいて、何の準備か分からない、彼の小さな頭がまだ理解できていない間に、目の前は既に一面の霜が広がり、吹雪が吹き荒れていた。


実は寒凜と寒冽が言い終わった瞬間、寒冽が手に持った扇子を振り、扇子から霊力を発し強力な吹雪を引き起こし、寒凜の手にあった月の花が幻想的に咲き亂れ、霜もそれに続いたのだ。


どうしたらいいか分からない年月天は途方に暮れていたがその時、突然彼の頭の中に思念の言葉が屆いた。


ムツキが心で年月天に伝えた。


「言葉に出してみてください!今、脳裡に現れる思考や言葉を唸り、十二月天の印と星辰の鎖の力を感じ、解放してください。」


年月天はそれを聞き、集中して脳裡に浮かぶ呪術の言葉を唸りながら、ムツキとツキヒの術を施し、星辰の鎖と十二月天の薄い赤い印が微かに光り始めた。


「紫璁銀河よ!ムツキの天よ、神聖で尊厳ある夢幻の力、風と雪の霊力よ!私に仕えよ!」


「湛藍の銀河よ!ツキヒの天よ、慰めと平和の力、氷と霜の霊力よ!私に仕えよ!」


年月天は心を込めて唸りながら、微光を放つ青い星辰の鎖と十二月天の淡い赤い印が、紫璁と湛藍の銀河と共鳴し、年沁の扇と年沁の花は紫璁銀河の扇と湛藍銀河の花へと変化した。


光の程度はまだ薄く、淡いが、年月天の年齢にしては非常に貴重な力だった。


年月天は手に持った紫璁の扇を振り上げると、一瞬で寒冽の吹風と雪は紫璁銀河の力によって消え去った。


年月天は自分の手に持った湛藍の花を掲げると、一瞬で寒凜の氷霜は湛藍銀河の力で弱まった。


寒凜と寒冽は器具をしまい、手を拍手して言った。


「さすが年姫の息子、こんなに若いのにこのような霊力を持っているなんて、時が経てば年姫と十二月天の願いも必ず葉うでしょう。」


言い終わると、二人は皆を如月の天へと送り返した。


ムツキが口を開いて言った。

「この二人は相変わらず冷たいわね!私たちと會話もさせてくれない。」


ツキヒは久しぶりに笑顔を見せ、如月と年月天を見ながら笑った。


風澪、雪澪、氷祁、霜祁は待ちきれずに年月天のそばに駆け寄って歓呼し、彼の試練の成功を祝福しているかのように、空中を舞い降りる雪と霜は湛藍銀河の光の背景にさらに美しさを添えて、夢幻的な雰囲気を演出した。


少年自小は非凡であり、

若き日に神々に知られた才能を持つ。

霊術を身につけて人間を救い、

仙人や神々の遺志を守る。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る