6. あの日の僕ら2 61~65


-61 故人の謝罪-


 守は生前の母の職業を思い出していた、今まで1つの会社の社員や経営者として働いていた事が有った様には思えない。貝塚財閥の筆頭株主であった傍らで他の主婦に紛れる為パートでの仕事ばかりしていたという記憶しかなかった。

 そんな母が・・・、1つの店の副店長・・・?それに光の旦那の店って・・・?


守「母ちゃんが光さんと働いているのか?」

結愛「ダル・・・、いや光さんは別の場所で働いてんだよ。さっきも言っただろう、お前の母ちゃんは光さんの旦那さんの店で副店長をしてるって。」

守「そっか・・・、それでその母ちゃんがどうしてお前に頼み事を?」

結愛「えっとな・・・、多分だがお前の母ちゃんは俺達と同等の魔力を持って無いからだと思うんだよ。こっちの世界に来るのには結構強めの魔力を要するからな。」

守「・・・、って事はお前やっぱり魔法使いなんだな?全くそうは見えないけど。」


 生前と同じで結愛は相も変わらずパンツスーツだ、本人がそれで満足している様なので良しとしたいが何となくピンと来ない。


守「結愛・・・、お前魔法使いらしい格好じゃないな。」

結愛「そりゃそうさ、あっちの世界にも貝塚財閥はあるからな。」

守「じゃああっちの世界でも会社を経営してんのか?」

結愛「当たり前だろう、俺以外に誰が経営するってんだよ。」


 確かにそうだ、もしも先に亡くなったとされる義弘が経営していたら最悪の独裁政治が再び行われることになる。特に・・・。


守「貝塚学園もあるのか?」

結愛「おう・・・、魔学校って形で学園を管理してるぜ。貝塚財閥は学校教育に協力的だからな。」

守「なるほどね・・・。」


 結愛があっちの世界で何をしているのかは大体分かったが今気になるのは母の事だ。


守「それで・・・?あっちの世界でも社長をしているって言う結愛に母ちゃんが何を頼んだってんだよ。」

結愛「そうだ、思い出したぜ。えっと・・・、あれ?光明は?」

守「光明は見かけてねぇぞ。」


 2人は周辺を探し回ったが光明の姿は無かった、試しに宝田家の横にある空き地に行くと光明が木陰に座り込んで涼んでいた。


結愛「お前ここにいたのかよ、早く来やがれ。冷めちまうだろうが!!」

光明「結愛が荷物を俺に押し付けたからだろ、これ結構重いんだぞ。」

結愛「おいてめぇ、女の俺に荷物持ちをさせる気かよ。男ならそれ位持ちやがれ!!」

光明(小声で)「いつもパンツスーツだし男勝りし過ぎてて女に見えねぇんだが。」

結愛「あん?何か言ったか?俺に文句あんのか?」

光明「いや・・・、何でも無いっす・・・。」


 完全に結愛の尻に敷かれている光明は致し方なく荷物を守の家に運び込んだ、風呂敷に包まれた大きくずっしりと重い荷物。


光明「早く置かせてくれよ、熱くて仕方ねぇんだよ。」


 守は耳を疑った、「冷める」や「熱い」だと?「重い」ではなく「熱い」だって?


守「取り敢えずそこのテーブルに置けよ、重たいだろう?」

光明「テーブルよりはコンロに置かせてもらうぜ、その方が助かる。」

守「良いけど・・・、何でコンロだよ。」


 光明は1度テーブルに荷物を置くと風呂敷の結び目を解いた、中に入っていたのは深めの・・・、鍋・・・。光明はその鍋をコンロに置いて火をつけた。


光明「お前にこれを食わせたかったらしいぜ、ほら結愛。」


 光明が鍋の蓋を開けて結愛がかき混ぜると甘酸っぱく懐かしい匂いが広がった、守と生前の好美が好きだったあの料理の味。


守「これは・・・、母ちゃんのハヤシライスの匂い・・・!!」


 そう、真希子は守に対して自らも予期していなかった突然の死により孤独にしてしまった事に謝罪したかったのだ。決してハヤシライスでは表しきれない位の謝罪・・・。


-62 警視総監の心遣い-


 結愛達の手で母の死により一生食べる事が出来ないと思っていた大好物が温まって行く中、守は大事な事を思い出して慌ててある場所に電話を掛けた。そもそも自分はどうして家に帰って来たのかを忘れかけていたのだ。


守「結愛、すまん!!」


 自らが経営する会社の筆頭株主となった守の唐突の謝罪に驚きを隠せない代表取締役。


結愛「何だってんだよ・・・、何で謝るんだよ!!」

守「それさ、松龍に持って行っても良いか?」

結愛「勿論、俺と光明は良いけどよ・・・。なぁ?」

光明「確かに大丈夫だぜ、でも龍さんは良いって言ってたのかよ?そもそもこの時間帯って店が閉まっているだろう。」


 確かに時計は松龍が昼営業を終えて中休みをしている時間帯を指していた、ただ今日は真希子の葬儀への参加により臨時休業になっていた。


守「実はな、この後その龍さん達と呑む事になっているんだよ。」

光明「良いじゃねぇか、じゃあ風呂敷に包んでやるから持って行けよ。」


 光明は火を止めて粗熱を取ってから風呂敷で再び鍋を包んだ。


守「お前らも来いよ、龍さん達会いたがっていたぞ。」

光明「悪いな、俺達すぐにあっちの世界に戻らないといけないんだよ。仕事が立て込んでてさ・・・、また今度な。」

守「そうか、すまん事をしたな。」


 守は玄関先で光明から風呂敷包みを受け取ると松龍へと歩き始めた、結愛達に向かって手を振ろうと振り返ると既に2人の姿は無かった。


守「あれ?もう行っちゃったよ、次あいつらと呑む約束したかったのにな。」


 少し残念そうにしながらも歩を進める守、ただ2人の事だからいつかまたやって来た時に会えるだろう、そう思いながら松龍へと到着すると・・・。


結愛「おう、遅いじゃねぇか!!先に始めちゃってるぜ!!」


 まさかの生中片手に赤くなっている結愛達の姿が。


守「おま・・・、おま・・・、お前ら仕事は?!」

結愛「何とっくの昔的な事を言ってんだよ、もう数時間前に終わったって(※しつこい様ですが、現実世界と異世界では時間の流れにずれがありますのでご了承下さい)。」


 鍋の入った風呂敷を両手に抱えながら開いた口が塞がらない守、あっちの世界でも結愛は一流のビジネスマンらしい。


龍太郎「それで?例の鍋ってのがこれか?」

守「うん・・・、〆に温めて食べようと思って。」


 守から鍋を受け取った店主兼警視総監は少し温もりを感じたので勿体ないと思ったのか、中のハヤシライスソースを少し中華鍋に移して加熱し始めた。


守「な・・・、何やってんの?」

龍太郎「お前が好きだった物にこいつをかけたら絶対美味いと思ってな。」


 そう言うと龍太郎は別の中華鍋でバターライスを作った後、皿の上にあけてその鍋に卵を流し込んだ。守はその様子を見て懐かしい気持ちになった。


守「これってもしかして・・・。」

龍太郎「ああ、お前が高校生の時にいつも食ってた「オムライス」だ。ただ呑む前だから少し少なめだがな。」


 そう言うと守が高校生時代に食べていた物に比べたら一回り小さな「この店での好物」に「母親の作った好物」を合わせて守の目の前に置いた。


龍太郎「ほら、オムハヤシだ。今日というかお前だけの限定メニューだから味わって食うんだぞ。」


 守は言われるがままに1口・・・、そして2重の懐かしさが涙を誘った・・・。


-63 思い出達-


 この日、龍太郎が作った物が守にとって人生で初めての「オムハヤシ」だったのだが、母の「ハヤシライス」と松龍の「オムレツ」のどちらも思い出深い味だったので懐かしさがやはり勝っていた。その懐かしさが嬉しさに替わり、キープボトルでの麦焼酎のロックを進ませた。


龍太郎「お前も大袈裟だな、ただの飯だぞ。泣く程かよ・・・。」

守「またこの味に会えたのが嬉しくてよ、それに昔いつも食ってたここのオムレツってやっぱり何処か他と違う味がしてたから好きになっちゃって。今も変わらないんだな。」

龍太郎「そりゃそうさ、うちは中華屋だぞ。オムレツというよりはかに玉に近いかも知れんな、隠し味として焼くときにゴマ油を使っているからな。」

守「だからか、香ばしい味がしたのは・・・。」


 守は龍太郎との会話を肴にまた酒を進めた。店内には桃や美麗は勿論、既に赤くなっている結愛や真帆がいたのだが、守が少し離れたカウンター席で1人呑んでいたのでその様子を見た真帆は自らの恋人が少し寂しそうにしている様に見えた。

 そこで彼氏を気遣った真帆は空になったグラスを片手に隣に座る事にした。


真帆「守・・・、こっちに来ないで1人でずっと呑んでるけど何かあったの?」

守「・・・。」


 守は彼女の問いかけに応えなかったが、その表情が何処か嬉しそうに見えた。彼氏の気持ちを共有したくなった真帆は守が呑んでいた焼酎を自らのグラスに入れて呑もうとした時、守が真帆の肩に手を乗せた。


真帆「え?!まずかった?!」

守「度数の強い酒だ、生(ストレート)で呑むのはやめておいた方が良い。」


 そう言うと真帆のグラスに氷と炭酸水を入れて焼酎ハイボールにした、やはり母から受け継いだ「周りに感謝し、周りを気遣い愛し、自分以上に他の者を大切にせよ」という気持ちがそうさせたのだろうか。


真帆「ありがとう・・・、美味しい。」

守「ごめんね、さっき答えなくて。」


 真帆は未だに守から好美への未練が抜け切れていない事を承知していたので平気だった、その証拠に眼前の彼氏が食べているのは好美の好物でもあったし、松龍は生前の好美のバイト先。


真帆「大丈夫だよ、そのオムハヤシを食べていた時の守が嬉しそうな顔をしていたからそれだけでも安心したよ。」

守「そうか・・・、ありがとう。」

真帆「守の思い出の味なんだよね、真帆も1口貰って良い?」

守「龍さん・・・。」


 守の言葉を聞いた龍太郎は瓶ビールを1口煽った


龍太郎「素敵な思い出は・・・、共有してこそより一層素敵になる。それに美味い物は分け合ってより一層美味くなる、寧ろ分けない方がおかしいだろう。」


 龍太郎がそう言うと守は小皿にオムハヤシを取り分けた。


真帆「これが守や好美さんの思い出なんだね、味わえて嬉しいよ。」


 口いっぱいにオムハヤシを頬張った後、真帆は彼氏や店主達の語る思い出話を肴に焼酎を呑んでいた。楽しい酒だったのか、いつの間にかキープボトルが空になりかけていたので守は新たに入れる事にした。


守「店休みにしてる日だけど、キープ大丈夫?」

龍太郎「それならちょっと待て、奥に良い物があったはずだ・・・。」


 店主は店の奥にある戸棚へと向かい、中身の少し減った大きい酒瓶を手に戻って来た。


龍太郎「これはお前が呑むべきじゃないのか?」


 警視総監が持って来たボトルにはキープ札がかかっていた、記載されていた名前は「倉下好美」・・・。


龍太郎「大切に呑んでやれや、お代は好美ちゃんから貰っているから気にすんな。」

守「ああ・・・、そうさせて貰うよ。」


-64 故人の盃-


 店主から酒瓶を受け取った守は先程の龍太郎の言葉を思い出して美麗達がいる座敷へと好美の焼酎を持って行った、勿論真帆も誘って。

 美麗は好美がバイトを終わらせた後に必ずその焼酎を楽しんでいた事を鮮明に覚えていた、懐かしい記憶が蘇った店主の娘は深刻そうな顔をして父親に。


美麗「パパ、それ呑んで大丈夫なの?好美のじゃん・・・。」

龍太郎「皆で呑んでやろう、これもきっと供養になるだろうし好美ちゃんも喜ぶはずだ。」

美麗「そうだね、それに吞めなくなっちゃったら勿体ないもん。」


 守が酒瓶をテーブルに置くと龍太郎が氷と炭酸水を手に付いて来ていた、皆が好きな吞み方で楽しめる様にという心遣いだ。


龍太郎「皆、ソーダ割で良いか?」


 そこにいた殆どの者が龍太郎の言った通りにしたが守だけはロックにした、どうやら亡くなった恋人の好きな味をじっくりと楽しみたかったらしい。カラカラとグラスの中の氷を鳴らしながらピーナッツを肴にゆっくりと呑み進めた、それが1秒でも長く楽しめる最適な方法だと思ったからだ。


守「好美、こんなに美味い酒知ってたんだな。呑み切るのが勿体ないや。」


 静かにちびりちびりと味わう守をよそにソーダ割でどんどん呑み進める美麗達、いつの間にか好美の焼酎は半分ほどに減ってしまっていた。


龍太郎「こんなに皆が楽しく呑んでるのを見たら好美ちゃんも喜ぶだろうな。」

桃「いや、かなりの酒好きだったから逆に嫉妬しているんじゃない?でも美味しいから呑んじゃうもんね。」

守「あっちの世界で怒ってたらまずいな、でも美味いから俺も呑むもんね。」


 皆が楽しく呑んでいる座敷の横で結愛がスーツをゴソゴソとさせて何かを探していた、光明によると結愛のスーツは特注らしく一般的な物と比べてポケットが多く作られていた。


結愛「あれ?この辺りに入れたはずなんだけどな?」

守「苦戦しているのは分かるけど流石に手伝う訳には行かんな・・・。」

結愛「何言ってんだテメェ、本当にやったらどうなるか分かってんだろうな!!」

守「何だよ、お前の体になんか興味ねぇよ!!」

結愛「おい守、よく見やがれ!!俺も立派な女なんだぞ!!ほらほら!!」


 酔っ払い同士の罵り合いで場が一気に盛り上がった松龍の店内で大企業の社長はいつもの胸ポケットから2通の手紙を取り出して鼻血が出かけていた守に手渡した、どうやら結愛の「立派な女」の部分が探すのを邪魔していたらしい。


結愛「言い過ぎたよ、悪かったって・・・。ほらよ、両方共お前宛だ。それにしても皆して俺を何だと思ってんだよ、便利な郵便係か?」

守「助かるよ、俺もすまねぇ・・・。」


 2通の手紙を両方共受け取った守は封筒をひっくり返してみたが差出人の名前は記載されていなかった、取り敢えず1通開けてみた。


守「母ちゃんからだ・・・。」


 守は焼酎のロックを1口呑むと、亡くなった母がしたためた手紙を黙読し始めた。


守へ

 元気かい?突然過ぎて母ちゃんも状況を上手く把握出来ていなかったけどやっとこっちでの生活に慣れて来てね、仕事も見つかったし万々歳さ。

 今回筆を執ったのはあんたの事だから今頃私の葬式をして泣きじゃくっていると思ってね、でも泣いてばかりじゃ駄目だよ。隣には真帆ちゃんがいるんだからしっかりしないといけないじゃないか、母ちゃんはこっちで何とかやってみるから真帆ちゃんと幸せに暮らしな。

 じゃあね、くれぐれも早まった事を考えるんじゃないよ。

母 真希子


守はもう1通の手紙を開いた、差出人はあの好美だった。内容はシンプルに一言だけ。


 言い忘れてたけど守、松龍にある私のキープボトルは呑まずに置いといてね。


守「龍さんこれ見てくれる?ど・・・、どうしよう。」

龍太郎「ま・・・、まずいな・・・、美麗が最期の一滴を吞み干しちまったぞ・・・。」


-65 女は強し-


 守は先程の店主の言葉が気になっていた、表情をよく見れば酒に酔って赤くなっている一同とは打って変わった様に蒼白していた。


守「龍さん、「まずい」ってどう言う事だよ。」

龍太郎「実はな・・・、あの焼酎は好美ちゃんが亡くなる数日前に製造が中止されたんだよ。いつも俺らが通っている卸業者の社長が言うには製法を唯一知ってる御仁がぎっくり腰で倒れちまったらしいんだ。普段店では出さない酒なんだがな、好美ちゃんが気に入ったって言ってたから特別に卸して貰っていたんだ。実はその社長もバイトをしていた頃の好美ちゃんの事を気に入っていて葬儀に参列していた時、号泣していたのを見かけてな。よっぽどショックになったのか、暫くの間会社に顔を出さなかったそうなんだ。」

守「その社長さんとは連絡は取れるの?」


 龍太郎は卸業者の番号にスピーカーフォンで電話をかけた、電話に出たのは社長の息子だった様なのだが守にとって聞き覚えのある声がした。


龍太郎「俺だ、父ちゃんいるか?」

息子(電話)「父ちゃんなら今トイレに入ってるよ、出たらそっちに行くって言ってたけど俺も行って良いかな?」


 守は意外な電話の相手の声の主に驚いた。


守「た・・・、正か?」


 そう、電話に出たのは守の友人で桃の彼氏の橘 正だった。


正(電話)「その声は守か・・・、大変だったみたいだな。大丈夫か?」

守「何とかな、龍さん達のお陰で葬儀も無事終わったし。」

正(電話)「そうか、行けなくて悪かったな。実はついさっき母ちゃんの実家から急いで帰って来たんだけど、親父の携帯に女将さんから電話があってな、守達が松龍で集まってるって聞いたから俺も親父と行こうとしていたんだよ。」

守「是非来ると良い、桃ちゃんもいるからよ。」

正(電話)「桃が?まさかと思うけどかなり・・・。」

守「お赤くなっておられるよ、正に会えなくてヤケになってるんじゃないか?」

正(電話)「仕方ないな・・・、急いで行くわ。あ、父ちゃん出て来た。父ちゃん、龍さんから電話だよ。」


 正は父親に電話を引き継いだ。


正の父(電話)「もしもし、お待たせ。どうした?」

龍太郎「広大(こうだい)か、こっちこそすまねぇ。今から来るって聞いたからついでに例の焼酎を持って来てほしいんだよ。」

広大「あれか・・・、あれは好美ちゃん用に卸してただけだからな。在庫があるか見て来て良いか?」


 電話を保留にした広大は数分程かけて在庫を確認した。


広大(電話)「ごめんよ、この前女将さんに渡した分が最後だったみないなんだ。」

龍太郎「えっ?母ちゃんに?」


 龍太郎は王麗が広大の会社に発注をしていた事を知らなかった様だ、開いた口が塞がらない様子の主人を見た女将はこちらを向いて顔をニヤつかせていた。


龍太郎「そうか・・・、じゃあ後でな。」


 龍太郎が電話を切った事に気付いた王麗はカウンターの下にある隠し棚を開けた。


王麗「父ちゃんの事だからどうせそうなると思ってたよ、ほらご覧。」


 隠し棚の中には例の焼酎がズラリと並んでいた、好美がいつでもボトルキープ出来る様にと以前から対策を講じていた様だ。


龍太郎「母ちゃんには勝てねぇな・・・、頭が上がらんわ。」

守「でも良かったよ、ここでも好美が大切に思われてたって分かったから。」


 安心した守は瓶ビールを片手に真帆のいる座敷へと向かい、隣へと座るとグラスにビールを注いで一気に煽った。


守「・・・、美味い・・・。」

真帆「良かった、やっと笑ってくれたね。」

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