第17話 でこぼこ同盟、活動開始!

 昼休みとなった。

 新たな能力に目覚めた俺は、サチとアリスと一緒に屋上へと集まっていた。

 俺の得た能力は『不幸を呼び寄せる』と『敵を最強にする』。

 やられ役らしい使えない能力である。


「かーくん。ショックだったかもしれないけど、落ち込まないでね」


「ああ、大丈夫。別に落ち込んでねーよ」


「さ、さすがだね。私があんな能力だったら立ち直れないかも。君は強いね」


「まあ、予想通りだったしな」


 むしろ、マシだと思ったほどだ。

 そもそも、属性解放は属性を強化する儀式だ。

 つまり、この場合はやられ役としての能力が強化されるという事になる。


 こんなものは想定内。この程度で落ち込むようなら、やられ役は失格だな。

 というか、死亡フラグ宣告と比べたら、余裕だよ。

 

「それに、何かに使えるかもしれないしな」


 一応、この能力は覚えておくべきだろう。

 どんな能力も使い方次第だと思っている。


「俺の能力のことは置いといて……どうすればサチの告白がうまくいくか考えようぜ」


 みんなで集まったのは俺を慰めるためではない。同盟活動をするためだ。

 せっかく同盟の人数が三人になったんだ。

 サチの告白を成功させるために、たくさんの知恵を出し合いたい。


「とりあえず、作戦が一つある」


「へえ? どんな作戦?」


 実は昨日にひと晩かけて、サチが優斗をデートに誘う作戦を考えていたのだ。


「まず、サチは普通に告白しても、優斗には聞こえない。告白するためにはデートなどで雰囲気を作ってからやるしかないが、デートを誘おうとしても『不幸』に襲われる」


「そうだったね。不幸か。私はまだ見たことが無いけど、本当なの?」


「ああ、はっきり言ってめちゃくちゃビビるぞ。いきなりタライが落ちて来るんだからな」


 この能力を何とかしないといけない。


「サチからデートを誘っても不幸に阻まれる。逆に言えば、サチが動かなければ問題ない」


 つまり、サチじゃない『他の誰か』が作戦を決行すれば、不幸は起きない可能性が高いのだ。



「俺が優斗をデートに誘えばいいってことだ」



「…………」


 その瞬間、全員から白い目で見られた。


「君、優斗が好きだったってこと?」


「んなわけあるか! 俺がサチとデートしてもらうように、優斗に頼みこむってことだよ!」


「あーなるほど。考えたら、誰かに頼んだことはなかったな。やってみる価値はあるかも」


 この作戦は一人では絶対にできない同盟の利点である。

 うまくいくかどうかは分からないが、失敗しても特に失うものもない。


「うん。一回やってみようよ」


「ああ、隙を見て決行してみる。サチ。映画のチケットを俺に預けてくれ」


「うん。無理はしないでね」


 サチから映画のチケットを受け取る。

 優斗にサチとデートをしてもらうように頼むなんて、気は進まないが、俺の命が助かるためなので、手段は選んでいられない。


「放課後にでも作戦を決行するか」


「うん! えへへ。デート大作戦だね!」


「……なんだよ、そのネーミングセンス」


 さて、果たしてうまくいくかな?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る