第12話 『御覧じろ』

 時を同じくして、遠く離れた監視所。

 活気溢れる街中に一つ、異質な影があった。


『監視所の諸君! さぁさ背かず御覧ごろうじろぉ。目にも鮮やかな、紅の祭典の始まりだぁ!』


 声高らかな宣言に、周囲にいた妖たちの視線が一気に集まる。

 何だ、どうした、と慌てる妖たちの中、一定数は迷うことなく得物を番えた。


 ——それが、運の尽きだった。


『へぇ……お前らがここの頭目かぁ』


 ニヤリ、と纏わりつくような笑みを浮かべた妖魔は——

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