part2 Reminiscence
間話 ある崩壊
人が静的現実の担い手となって早数千年。
その全てを見てきた私にしてみればよく保った方だと思う。
が、その終わりも徐々に近づいてきている。
人類がこの世のあらゆるものを想像することで、この世のあらゆるものが形成されるという概念——静的現実は、やはり人類という種の限界によって制約される。
一見全ては自由に見えてそれは想像力という限界に制約される。
科学という魔術の一分野が大衆の手に委ねられ普遍の概念とされなお人は外宇宙という概念を形成できない。
この広い宇宙に地球外生命体、即ち人類の他に静的現実を担うであろう生命体は存在しないという事実を彼らは当たり前のものとしつつある。
想像力は周囲にあるものを材料に形成されるため距離という制約を受け、さらには未来のこと、未来が今後も存続する希望の潰える先に人類の絶滅とそれに伴う静的現実の消失がある。
その先にある虚無。
その回避が『老人』の1人たる私達——
『双頭の翁』
『無貌の神』
『怪人』
『闇に吠えるもの』
『暗黒のファラオ』
数多の冒涜的な異名を持つ私達がそれを為そうというのだから、その手段はいくらか人類には冒涜的なものとならざるを得ない。
即ち、人を殺し、人になり変わる存在を新たなる静的現実の担い手とすれば良い。
しかし新たなる誕生には試練が必要だ。
その過程の混沌こそ私の目指すべき物。
絶望のないところに1秒先の未来へ行きたいという希望は生まれない。
——XXXX年
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