11/27 物語


物語はようやく終わりを告げる。

警察の捜査によってすべてが明かされ、世間は大騒ぎになった。


生首たちはいないのに、首塚に人が殺到した。

あの施設は解体されたが、裏で仕切っていた団体は姿を消した。

自然消滅したか、新たな標的を探しに行ったか。もう誰にも分からない。


首切りで有名な将軍の下で、一人の女が狂ったように生首たちを愛でていた。

首塚の下にある施設は彼らのためだけに用意されていた。

彼らを守るためだけに町中のネットワークに侵入し、情報を得ていた。


どれだけ罪を数えても捌ききれない。

地獄へ持っていくには、あまりにも荷物が重すぎる。


日付をまたいだころに、俺はようやく解放された。

後ろで撮影していた友人は、もう少し時間がかかりそうだ。


俺は家に着くや否や、膝から崩れ落ちた。

人生の歯車が狂った女の末路、たったそれだけでこのお話を〆ていいのだろうか。


終わらせ方が分からなかった。

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