11/26 故郷


彼女はうつむいたまま、生首を抱きしめては優しく下ろす。

別れを惜しむように、愛おしそうに触れている。

この数十分で一気に老けた様に見えた。


「どうして、こんなことになってしまったのかしらね。

私はただ……」


虚空を見つめながら、ぶつぶつと呟き続ける。

歯車はいつ狂ってしまったのか。俺には分からない。


生首たちは彼女を守るように、囲んでいる。

俺はそれをただ、眺めていた。


その後、警察がやってきて、彼女は連れて行かれた。

あの女は抵抗する様子もなく、警察に連れて行かれた。

俺たちも事情聴取ということで、共に行くことになった。


首塚の下にある施設も裏で手を引いている団体も明らかになる。


故郷から遠く離れ、彼女を探し続けた末にたどり着いた。

生首たちの呪いは解けて、ようやく彼らは眠りについた。

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