11/24 センタク


「どうして彼らを蘇らせたのですか?」


刺すようなカメラの視線、友人からの詰問が続く。

逃げも隠れもしないということは、あの女も腹を決めたということか。


「あの子たちは私にとっての希望、エヴァリスト公の信者も協力してくれた。

ここにいれば、幸せな生活を送れるのに! どうして、連れ去ったの?

何でついて行ったの? 何が嫌だったの?」


俺を無視して、後ろにいる生首を見ようとする。

昔からそうだった。都合の悪いことを見ようとしない。


「嫌だったわけじゃないよ……でも、ここでやらなきゃいけないって思った」


ここで外に出なければ、何も変わらない。

何も考えていなかったわけじゃない。変化の兆候はあったわけか。


「彼もそうだよ。名前は知らないけど、親切にしてくれた。

きっと、仲良くなれると思うんだ」


それは違う。真実を探求しているうちに、偶然が重なっただけだ。

その選択を選ぶには、あまりにも遅すぎた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る