11/14 月


生首が窓から空を見上げている。

生首のような丸い月だ。


「なんだ、元の場所に戻りたいのか?」


「な」


「あの女がやったんだろ。首塚を爆破して、お前たちを連れ去った。

まさか、あの下に隠しているとは思わなかったが……何が目的なんだ?」


灯台下暗しとはよく言ったものだ。

犯人が犯行現場にとどまるとは思わないじゃないか。


「牧場」


「それはさっき聞いた。意味はよく分からなかったが」


不満そうに口を閉じた。

あんな地下施設に牧場なんて想像がつかない。


「だれ?」


「なんだ?」


「君、だれ」


「俺のことか。そういえば、名乗らなかったな。

知らなくていい。どうせ、あの女に殺される」


「ユリが?」


「今頃、お前を血眼で探しているだろうさ。その後、俺は血祭りにあげられる」


あの女を表舞台に引きずり上げるために、生首を連れてくるしかなかった。

こうすれば、すべてが明らかにされるだろう。

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