11/13 流行


十数年前からだろうか、電脳世界が普及してから得体の知れない病が流行し始めた。

人には理解できない趣味を公開し、共有を求め、愉悦に浸る。

あるいは、他の誰にもできないことをやってのけて、称賛を浴びる。


それは一気に広がり、人々の心を蝕んでいる。

特効薬は未だ見つからない。


町の観光地を破壊したり、迷惑行為に及んだり、愚かな行為を働く若者が増えてきた。それの原因の一つが電脳世界によるものだと言われている。

派手なことをすれば、人の目も集まるからだ。


しかし、首塚を爆破した犯人の動機は、共有を集めたいがためにやったこととは思えない。れっきとした目的がある。


たとえば、地下に眠っている生首だ。

あの生首を復活させることで、何がしたいのかは分からない。


だが、生首は世話しているあの女を認識していた。

本当に何者なのだろう。


「ごっはーん……んゆ?」


「分かった、準備しよう」


俺は生首にミルクに浸したパンを置いた。


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