11/12 湖


拉致した生首を見つからなさそうな場所に連れていく。

何が起きているのかよく分からないようで、ずっと黙っている。

山の奥へずっとバイクを走らせて、水辺が見えてきた。

橋の上に橋の上に一旦止め、息をついた。


「ぬあー」


生首は目玉をきょろきょろと動かす。


「お前、何なんだ?」


「ここは?」


「お前はあの首塚の下で生活していたんだ。

何なんだ、あの場所は? お前は何者なんだ?」


「みんなー、どこー?」


「みんな? 複数いるのか?」


少し落ち着いたのか、俺を見て話を続ける。


「そだよー」


「そいつらは全員、殺されたのか」


「……」


「あの女は何なんだ」


「ユリ」


「あそこは何なんだ」


「牧場」


「牧場?」


「生首、牧場」


むかしむかし、エヴァリスト・ブルームフィールド公の首塚が爆破された。

人通りのない深夜に行われ、犯人は未だ逃走中である。

その際、何者かが首をすべて持ち出し、行方不明となっている。




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