11/11 坂道


生首たちは朝からずっと騒いでいた。

仲間の一人が消えていたのだ。


「いない!」


「なんでー?」


いつの間にか消えたのだろうか。

生首たちはうろたえ、ごろごろと転げまわる。


扉がハッキングされ、勝手に開かれていた。

鍵も金属のこすれた跡が見られ、外からあけられていたことが分かった。


生首たちは外に興味が全くないわけじゃない。

餌か何かで気を取られているうちに連れ去られたのだろう。


「どこ?」


「探す?」


「うぇえん」


ぐるぐる回り、泣き出してしまった。

こんなあっさりと攻略されるとは思わなかった。

敵は暴君だけではないということか。


こんなことなら、彼らの体にGPSでも取り付けておくんだった。

外に出すことは絶対にないから、油断していた。


「探さなきゃ」


私は町中の監視カメラを操り、生首を探し出した。

犯人はまだそう遠くには行っていないはずだ。


「大丈夫、絶対に連れて帰るから」


町中を敵に回してでも彼らを救う。

それが守護者の役目だ。

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