11/9 つぎはぎ


我々を世話しているあの女は異様だ。

何もできない我らをなぜ、あのようにして可愛がるのか。


生首を可愛がるあまりに自分のことをないがしろにしている。

碌に食事もとらず見た目も気にせず、ただひたすらに生首を愛でている。


この施設だってそうだ。

我々を飼育するためとしか思えない機器ばかりだ。


適切な温度に保つ温室、洗浄機能がついたガラスケース、死角のない監視カメラ、何人も通さない扉、刑務所だってこんなに厳重じゃない。


やはり、この女は異常だ。

すべては生首という常軌を逸した生物を隠し通すため、このような施設を作り上げた。誰の支援も受けず、孤立無援の女がどうしてここまでできるだろうか。


そればかりが不思議で仕方がないが、今は関係ない。

首塚を破壊したのは、下に眠る我々を蘇らせるためだ。


その理由は簡単だ。どうやっても埋まらない溝を埋めるためだ。

すべてはあの女の自己満足でしかない。

それをどうか、理解してほしい。

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