11/8 鶺鴒


生首たちの記憶から消せないものがある。

胴体がある時のこと、人間として生きていた頃の話だ。

もう何年も前のことだ。


なぜ、この世界によみがえったのか。

あの首狩りで有名な将軍に殺された後の記憶はない。

自分が死んだことも分からなかった。


しかし、あの将軍も結局は戦場で仲間に裏切られて死んだ。

天罰はいずれ下ることが分かり、心がすっとしたのはよく覚えている。


今はあの女の自己満足に付き合わされている。

高度な技術を持つ装置たちのおかげで、生首たちは生きながらえている。

考えても仕方のないことだ。思考機関は捨ててしまった。


今だけは彼女の愛を享受しようじゃないか。

そう思っても、拭い切れない違和感がある。


鶺鴒の鳴き声で目覚めた朝、昼に食べたカップヌードルの味、夕焼けに染まる広い空、夜に吹きすさぶ風、胴体はなくとも頭で分かる。


自分たちはここにいてはいけない。

元の場所に帰らなければならないと、直感が告げている。

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