11/7 まわる


生首が回るのは当たり前である。

彼らに手足はないから、移動するには回るしかない。

ごろごろ転がりまわる。


「ぐるるうん」


「めがーめがー」


「とまらーん」


ぐるぐる回っているだけでも楽しい。

思考機関は捨ててしまっても三半規管は残っている。


ぐるぐると回っているだけで目が回る。

ゆっくりと移動してもあまり意味がない。


時間に間に合わない。食事のベルが響いた。

どこからか生首が現れ、転がりまわって餌の前に収まる。

自分の名前が書かれた皿の前に座って、食事が始まる。


彼らは足にまとわりつき、彼女をよく転ばせている。

気をつけながら、慎重に皿を並べる。


指定席をまちがえれば、ユリが正しい位置に戻してくれる。

食事のあと、彼女が口の周りを丁寧にふき取ってくれる。

生首用のフーズを平らげると、ユリは皿を重ねて食洗器に入れる。


彼女の自己満足であっても、悪い生活じゃない。

のんびりと生首は今日も回っていた。

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