11/6 眠り
生首たちの夜は早い。
夕食を食べたのち、少しぐるぐるとあたりを回って自分の部屋に戻る。
生首たちには専用の個室を設けており、そこで寝起きしている。
消灯時間は決まっていないが、そこに入って勝手に眠る。
頑丈なガラス製の小さな小部屋だ。
そのまま風呂の時間になる。
温かいシャワーが放出され、優しい泡に包まれ、一日の汚れを落とす。
生首たちに手足はないから、アームが手際よく洗っていく。
風呂の時間が終わると歯を磨いて、彼らは眠りにつく。
生首たちは夢を見ない。思考機関と共に捨ててしまった。
一度眠りにつけば、朝になるまで目を覚まさない。
生首たちの寝室は常に適度な環境に保たれ、眠りが妨げられることはない。
彼らは気づかない。安全な世界で眠りについている。
なぜ、自分たちは生きているのか。
こんなガラスケースに保存されているのか。
彼らは知ることはない。
長い夜を眠ってごまかし、朝を迎えるのだ。
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