11/4 温室

首塚の下に温室がある。生首牧場の最奥にある施設だ。

そこで生首フーズとなる野菜を栽培している。


温室ができてからは野菜の供給が安定するようになった。

当たり前の話だが、生首は食事をしないと生きいけない。


人間と同じような食生活をすると、栄養が多すぎてかえって不健康になる。

だから、生首用に調整された専用のフーズが必要になる。

それを数年前に開発したのが彼女であり、量産化に至ったのは本当に奇跡としか言いようがない。


機械による完全自動化、安全装置付き、誰が操作しても同じものができる。

野菜と穀物を指定された分量を入れるだけで完成する。

さらに快適な食事時間を過ごすことができるようになった。


「めしめし」


「ごっはーん」


「むぐむん」


ユリは鼻歌を歌いながら、茶色の粒を皿にあけた。

それをいくつも用意し、床に置く。

すると、彼らは一斉に皿に飛びついた。

それを眺めるのが彼女にとって、最大の幸福なのである。


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