11/3 だんまり

今日の生首たちはより静かだった。

だんまりと静まって、じっと一か所にとどまっていた。


今日は外が騒がしい。

なぜなら、消えた生首を探しに来た人間たちがうろうろしているからだ。


むかしむかし、とある首塚が破壊された。

中にある首という首が持ち出され、現在も行方不明である。


首を見つけた者に金一封をやるといったのは誰だったか。

それを求めて宝探しをする愚か者が後を絶たない。


だから、息を殺して生きる生首を何としてでも隠さなければならない。

地下に生きる静かな生首を守らなければならない。


「にょん」


「うるさい」


「うえ、うえ」


地上が騒がしいからか、どうも落ち着かない。

私は彼らを遊戯室に閉じ込め、地上の様子を探る。


ああ、滅多に表に出ない暴君が地上を探していらっしゃる……。


金一封に釣られた愚か者の末路は悲しい結末と相場が決まっているのに。

私はそっと扉を閉ざした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る