第49話 ロスト

 俺とガラは魔をどんどん倒した。

 毎秒1匹倒してるくらいの超効率。

 しかし、浄化を終えて山がはっきりと見えたところで気がつく。


 山の全域は紫色へと変わっている。

 こりゃ……一年で終わるどころか、終わらせられるのではないだろうか。


「うわあ❤︎ 倒しても倒してもキリがないね❤︎」

「俺たち2人だけでやっても無駄な気がしてきたよ」

「操るっていう魔を見つけなきゃね❤︎」


 もうべクーに後でどうにかしてもらう方がいい気がしてきた。

 にしても一年は長い、要塞なんかを作る暇あったらささっと集めてくれたらいいのに。

 と、オレンジと黒の魔が森の奥から出てくる。


 魔が「おっw」と言うと同時にガラの槍が魔を貫いた。

 コイツも本体ではないのだろうか。

 はあ、スズメバチみたいな色しやがって。


「よわすぎ〜❤︎」

「ガラ、上機嫌だな」

「だってお金いっぱい拾えてるし❤︎ 帰ったら何でも買えちゃうよ❤︎」


 そういや、その辺どうなるんだろう。

 この世界のお金は現実のお金と同じだが、現実と同じようには発行されていない。

 魔が死ぬと発行されるのだ。

 魔をしっかり狩っている地域は金の流通が多く、物価は低め。

 狩っていない地域は物価を上げて冒険者を雇い、何とか維持している。

 シロシロがそう言っていた。


「金か……」


 俺がそう呟くと、空を包み込むほど巨大な、電子的の青白い光が一瞬流れていくのが見えた。


『こんにちは。ちょっと世界を弄ってみたのですが、どうですか? 腐敗したエリアはなくなって村は元に戻りましたか?』


 遠くの山を見ると、紫から緑色になっていた。


「変わってるけど、村はどうだろ」

『都市を見に行ってください』


 見に行けと言われても、何度行ったり来たりしてると思ってるんだ。

 チャプターのクエストじゃないんだぞ?


「メンドクサイです」

『……ではテレポートさせますので、お二人とも。そこから動かないでください』


 テレポート助かる。

 白い光に包まれ、それが解かれた瞬間に辺りが人混みの中へと変わった。

 完全に復興が終わって……いや違うな。

 魔の侵攻がなかったことになってるみたいだ。


 これで両親は料理地獄から解放されたのだろうか。


「使えるんだったら早く使ってくれれば良かったのに」

『私も、魂を集め切っていないのに上手くいくとは思っていなかったもので。それよりこれで、メイン時空の問題は解消されたはずです。……時間的には一年空いても問題ありませんが、もし暇でしたらやっぱり魂の回収をお願いできますでしょうか?』

「ちょっと待って、拾ったお金なくなっちゃってるんだけど!」


 おおう。

 森を浄化したの、無駄になっちゃった。

 まあいいさ……棍棒振るの楽しかったし。


「そしたら、どこへ行けばいいんだ?」

『テレポートさせます、行き先は巨大酒場の時空です』

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