第24話 焦り
「……最近、たくさん気絶されますわね。マヴさんが生きてるの、不思議なくらいですわ」
シロシロがこちらの顔を覗き込んでいる。
慌てて飛び起きた、どうやら気絶してる間に膝枕してくれてたらしい。
寝心地が良かったのか、日が出てすぐに気絶したはずがもう夕暮れ……。
まずいな、全然伝えられない。
シロシロは呪いのことを知ってるし、ある程度勘付いてフォローしてくれるような様子もあった。
でもゲームで知ってることを伝えないというのは、べクーラガルルさえ知らなかった呪いのルールだ。
このまま説得なんて出来るだろうか。
「呪いについてはもう拘らなくて良いと思いますわよ。日が経てばまた、街の人を人形に変えていけばよろしいのですし」
ロックたちと会ってから、もう三日が経つ。
来てほしい理由を説明すると当然アウト、理由を伏せてもアウト、代理で魔を狩ってくれる人を探すと言ってもアウト、筆談もアウト。
もう黙って一人でロックを探せということなのだろうか。
「……シロシロ様は魔法使いみたいに、変身したりできないんですか?」
「変わった質問ですわね。できませんわよ」
これで勘付いてくれたりはしないだろうか……。
シロシロがハッとした様子で目を見開く。
おおっ。
こんな質問なのに、まさか気付いたのか?
「そういえば、こないだの魔法使いさんたち。ワタクシを見ただけでとてつもない憎しみをぶつけてきてましたわね。もしかして人の目で見ると、ワタクシはとんでもない不細工に映っているのでしょうか」
シロシロは自身の両頬に手を埋めながら、青褪めた顔をし後にそっぽを向いた。
「シロシロ様は可愛らしい見た目ですよ」
「そうですわよね。きっと、魔法使いさんたちは魔から魔法か何かを受けていて、ワタクシのことがそういうものに見えていたのかも知れません」
それはありそうだ。
でも、だとしたらどうやって魔法を解くことができるのやら。
やはり、ロックたちに気付かれないよう後を付けてボス討伐を狙う他ない。
放っておいてもプレイキャラなら倒せるのかも知れないが、この世界がゲームとは違ってきてる以上、任せておくのはなんかなあ。
「マヴくんは魔法使いさんたちに着いて行きたかったのですわよね。ワタクシも同行したいのは山々ですが、魔を倒せる者というのは限られていますの。あなたの妹さんなら可能でしょうけど……同行できなさそうなのにやらせるのは何だか……。まあやらせてみるのはアリだと思いますわ、戦力は多い方がいいですの」
すっかり忘れてた、妹なら行けるな?
さすがにシロシロほど強くはないが、ガラは新規スキル獲得シナリオのキャラだ。
それも割と新しめだから、12年修行してもスキル取れなかった俺よりは強いと思われる。
「やらせましょう。俺たちは行かなきゃならないんです」
「そうですわね、呪いはまだ解けていませんもの。……次は魔法使いさんたちに会っても、攻撃しませんわ。やられる覚悟で向かえば、きっと受け入れてもらえますの」
うっ、シロシロには苦労掛けるな……。
呪いが解けさえすれば、シロシロに面倒かけずに済むし、チャチャっと妹に頼む……いや、頼んでもらうか。
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