第20話 再会2
「マヴくん、おはよ♡」
どこか懐かしい声が隣からして、目が覚める。
ベッドの上らしい、隣には母がいた。
相変わらず美しい。
いや待て、何でこんな近くにいるんだ……?
「おあ!」
ベッドから飛び跳ねるように起きると、母は笑う。
「そう恥ずかしがらなくてもいいのに♡」
いやだから、血が繋がってないのにそういうスキンシップはマズイでしょ。
心臓がバクバク言ってて、実家なのに何も落ち着かないっ。
「マヴくん起きましたの? さあ、さっと挨拶してパパッと魔法使いを探しますわよ」
シロシロの声にハッとなる。
欠伸してる、俺は咄嗟にその隣へと駆け寄っていた。
ふう、少し落ち着くぜ。
「ママ。しばらく遠出することになりそうなので、挨拶に来ました。すぐ戻るとは思いますが、それまで元気でいてください」
「あら、今日はゆっくりできそうにないの?」
「それは……」
あれ、どうすんだっけ……。
思考停止したままとりあえずシロシロに目を向けると、首を傾げていた。
「ワタクシのことは気にしなくていいんですわよ? 一日くらい、ゆっくりして行きましょう」
「ありがとうございます」
何がありがたいのか自分でもよく分からんが、とりあえず返事した。
そうだ。
正直、シロシロと一緒の方が気楽である。
でもこれから、チャプター通りにこの両親を失うかも知れない。
まずはそれを避けるためにこれまで頑張ってきたんだし、今日を過ごしたらべクーラガルルを探して、戻ってまた一緒に過ごそう。
猶予が例え100日しかなかろうと知ったことか。
最悪この街を動くぬいぐるみだらけにしてやる。
「ガラちゃん、お兄ちゃんが目を覚ましたわよ♡」
「はーい❤︎」
2階の方にいたのか、ガラが階段を駆け降りてくる。
「抱き付いただけで気絶なんて情けな〜い❤︎ 修行して鍛えたのはホントに力だけなんだ❤︎ ピュアボーイだね❤︎」
何か不快度増してる喋り方だ、悪口でないであろう言葉が皮肉に聞こえてくる……。
「さて、それじゃあ今日は買い物と外食にしましょうか♡ マヴくんも自分で服を買いたいでしょうし♡」
「そうですね」
そういえば、今着ているものは全て親が森の中へと送ってくれたものだ。
だからこれまで、会う機会は割とあった。
ただ、もうすぐ死ぬかも知れない相手とやり取りするのが怖かった。
今もまだ、両親とロックたちが鉢合わせることになったら死ぬ可能性があるけど……。
もうそうな風に考えるコト、ないよな。
「私はパパを起こしてきますね♡ 昨日酒場で飲み過ぎだそうだけど大丈夫かしら♡」
「あら。何だったらワタクシが留守を預かりますわ。魔狩りは数年放っておいても大丈夫そうですし、のーんびりお昼寝させて頂きます」
「でしたら屋上をお使いください♡ 今日は日差しがとても心地良いですよ♡」
「そうしますわ」
シロシロと父はこないのか。
……どっちかだけでも来てくれると、心臓に負担が掛からなくて嬉しいんだけどなあ。
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