第19話 再会
天然綿や落ち葉、枯草などを混ぜ合わせた自然のベッドの上で目覚める。
いつもいつも、朝の日差しが心地良いぜ。
昨日の夜は正直、緊張して眠れなかったのだが。
月が真上に登り、0時過ぎたであろう辺りから一気に落ち着いて眠くなった。
そして今、俺が死んでないってことは呪いの回避がうまく行ったという訳だ。
流れができてれば、呪いに逆らう行動を取っても巻き戻しにはならないらしい。
シロシロがその辺に賭けて手配してくれてたんだろうな、ホント助かった。
「おはよーですわ。どうやら平気そうですわね。昨日頑張った甲斐がありましたわ」
「そうですね」
昨日の人数は100人ちょうどだ。
確か一人殺せば24時間分、三つ目の呪いの猶予が延びる。
ゲーム情報だしうろ覚えだから、べクーラガルルと会って再確認したいけど。
ガラとの喧嘩の後は一度も会えてない。
「マヴくん、これからはどうされるのかしら? ワタクシと共に、これまでと同じ生活を続けてくださいますか? それとも家族と共に街で暮らしますか?」
「魔法使いを探そうかと」
「そういえば、アナタに魔法具を授けていたんでしたわね。協力してくださるような方なら、またすぐに会えるのではありませんの?」
「それが、12年間一度も会ってなくて」
シロシロは自身の口の左端を指先で撫でながら唸り始めた。
考える時の仕草だ、かわいい。
「案外、名前を呼べば出てきてくれるのではありませんの?」
「そうですね。べクーラガルルー、出てきてくださーい。用があるんですー」
呼んでみたけど来ない。
彼女は変身とワープを使えるんだから、あっちに会う気がなければ会えないのは当然か。
……いや待てよ。
チャプターでは傭兵ロックと共に旅をしてる最中だったから、ロックを探せば会えるな?
「何か他の方法が思い浮かびましたの?」
「ええ、きっと戦地で魔法使いとは会えます。じゃあ行ってきます」
「待ってくださいまし。家族に一言あった方がいいと思いますわよ。さ、今日は街へ向かいましょう」
まあ、それもそうか。
離れるんだから挨拶くらいはしないとな。
森を抜けて街に着き、家族の住む家を訪ねる。
そういえばあれから、山小屋から引っ越したんだな。
魔から出たお金で生活はできてるだろうけど、今はどう過ごしているんだろう。
一際大きな家の前でシロシロは立ち止まる。
「ここですわ。コンコン! お邪魔しますわよ」
そして玄関の扉を開けて入って行った。
ついて行くと、ガラが歯を磨きながら突っ立ってコチラを眺めているのが見える。
ガラはどこかへかけ込みペッと吐く音を出した後、歯ブラシを投げ笑顔でこちらへ駆け寄ってきた。
「久しぶり❤︎ お兄ちゃん❤︎」
思い切りハグされる。
柔らかいっ。
下衆なハグの感想が浮かぶが、それより血繋がっていないのに大胆すぎやしないか?
恥ずかしい……。
「久シブリ。元気ダッタ?」
ついカタコトで喋ってしまう。
ガラはクスクス笑ってる。
「げんき❤︎ それよりおにいちゃんはだいじょーぶ? 今日が15回目の誕生日なんでしょ?」
「全然ヘイキ……ウッ」
頭がぼんやりして、ガラの体の柔らかさと、目蓋が重たく落ちていくのを感じた。
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