第15話 戦闘(魔法具の検証)

 家族が帰り、シロシロと2人きりになってしまった。

 シロシロは森の奥へとゆっくり進んでゆく。

 進んで行くたびに、森はおどろおどろしい

景色へと変わっていった。

 腐敗した蔦を動かすよく分からない植物や、枯れた木が目立つ。


「魔というのは普段、こういうところにいるのでございますわよ。こんなところ、誰も近寄りたがりませんわよね? つまり人への被害は少ないんですの。でも魔を退治しないと森の腐敗が進んでしまいますのよ、だからこうして狩りに行きますの」


 スライムのようなのが森の奥から近付いてくる。

 シロシロは何の躊躇もなくそこへ向かい、蹴飛ばしてスライムを吹き飛ばし、爆散させた。

 爆散したスライムからは何故かお金が落ちる。


「……困りましたわ。ワタクシがやると死体が残りませんの。とりあえず、試したいことは三つありますわ」

「三つですか?」

「ええ。一つはマヴくんの言ったことが上手くいくか。もう一つは死体でなくても憑代に移せるか。最後に、憑代が生きていても移せるか、ですわ。最後のは両方とも、多少知性のある相手がいいですわね。死後何分の死体までならセーフか、とかも後で調べたいですわ」


 そこまで知る必要性ある? いや、シロシロはBOT化してからそんな感じで過ごしてはいたが。

 今後それに付き合わされると思うと、まだ戦ってないのに疲れてきた。


「あっ! あの魔は弱いですわよ、マヴくん初めての戦いに相応しい相手ですわ!」


 俺はナイフ片手に、シロシロから貰った棍棒も構える。

 相手は大きいカタツムリだ。

 俺は呼吸を整え、棍棒を振りかぶりカタツムリの殻に叩きつける。

 どうだ!?

 ……ゴーンという鐘をつくような音と共にカタツムリはゆっくりと倒れ、動かなくなった。

 そして1円玉らしきものがカタツムリの中から飛び出す。


「やりましたわ! さあ、ナイフの検証を致しましょう!」

「はい……」


 こんな感じの、何とも緊張感のない戦闘が一日中続いた。


 アジトに戻ると、シロシロは切り株を台にし紙の上でペンを走らせる。

 そして数枚の束を作り、息を吐いた。


「おつかれさまです、検証終了ですわ! どうやら憑代は動けそうな無機物でないとダメみたいですわね。さ、ご飯にいたしましょう」


 シロシロはそう言うと、木の器に虫の入ったものを二つ持って一つを俺に差し出した。

 虫は少し……動いている。

 シロシロは頂きますわ! と言うと、何の躊躇もなく食べ進めた。


「マヴくん、もし良ければこのまま一緒に過ごしませんか? 魔を退治していれば自然と強くなれますわよ! 力はあって損なしですわ!」

「考えさせていただきます」


 この生活が12年続くことなど、俺は、まだ知る由もないのであった。

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