第7話 呪いで行動
「マヴ、来なさい」
父が別室へと入っていき、母から両肩を肩を掴まれる。
少し痛いんだが? さすがに実の息子を傷つけるようなことはしてこないよな?
「ガラはここで待っているのよ♡」
「は〜い❤︎ お兄ちゃん、3歳にもなって叱られるなんてなっさけな〜い❤︎」
大人しく部屋に入ると、カチャンと鍵の掛かる音がした。
「マヴ。ワシの仕事をなぜ知っている?」
「知ってたというか、その」
「そうか。ではなぜ暗殺へ向かうと思った」
暗殺者だと知ってる理由なんて、正直に言おうが嘘を言おうが結果は変わりないように思えるし。
どうせなら正直に言ってしまうか。
その方がいいに決まってる。
「隠さずに話して頂戴。これは私たちにとって大事なことなの」
「俺、未来が分かるんです! だから……」
言った途端、あのギシギシ軋む音が聞こえてくる。
そうか、呪いの効果か。
でも今回は好都合かも。
……起きると額がヒリヒリする。
触れたら大きく腫れ上がっていた。
「マヴ、大丈夫か? 玄関前で倒れていたぞ」
マジ痛い。
こりゃ迂闊に崖や坂道を通ろうものなら、巻き戻った瞬間に瀕死か即死だな。
つーか、言うだけでも呪いが発動するとはなかなか酷い。
ベクーラガルルに手伝えることないか聞いた時とかは発動しなかったのに。
死の宿命から逃れようとするって、具体的にどういうことなんだか。
んー、有効打になる時だけ発動するってとこだろうか?
それよりだ、父さんは暗殺へ向かわなくて大丈夫なのだろうか。
決まった日にやらないと厳しいもんな気がするけど。
……ん? 偶然だが、なんか上手く暗殺の邪魔できてね?
まだ詳しく分かりきっていないが、他人が俺に干渉する分には、呪いは発動しないって訳らしい。
考えてみれば、ベクーラガルルが呪いの説明をした時だって、ナイフを渡してきた時だって発動していないっ。
俺がナイフに直接触れて呪いが発動すれば、確実に有効打になるってことか!?
いや、でも条件まだしっかり確かめてないし。
そんな都合よくはいかないだろうな……。
「まだ意識がハッキリしないようだな。母さんが軟膏を作ってくれてるから、それを塗ってご飯食べて寝なさい」
「ありがとうございます」
「かしこまらなくていい、ワシら家族なんだ」
父はニッコリ笑うと、部屋から出て行った。
呪いのことはとりあえず、地道に確かめてくとして。
今日は何とかなりそうだけど、これからの暗殺の阻止は……どうしたものか。
「お兄ちゃん、大丈夫? わるい病気だった?」
ガラが入口の隙間からこっちを見ている。
なんだ? 単なるメスガキウザキャラのはずなのに、心配してくれてるのか。
「まあ、うん」
「それじゃ、しっかり食べて元気出してね。……お兄ちゃんがいないとつまーんないし❤︎」
あ、元の調子に戻った。
しかし入ってきたガラの手に持つ皿には、肉が多めに乗っている。
全部食べるとか言ってたくせに、この家族良過ぎて何だか……泣けてくるぜ。
「ど、どうしたのお兄ちゃん。そんなに痛いの?」
「いや嬉しいんだ、ありがとう」
涙と鼻水でよく分からなかったが、ガラは顔を背けてもじもじと照れているようだった。
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