第七話

「...どうせ君たちのことだから、助けたいって言うんでしょ?」


「「そうです!!」」


「うーん。そうかぁ。そうだよなぁ。でも、最初にやったのは俺だからなぁ。うーん。うーん...」


神様は、ブツブツと呟きながら空間を歩き回る。今度は頭のてっぺんが見えていて、耳がピクピクと動いている。


「ねぇアオ。俺って頭から見るとああなの」


「うん。抱っこしてるときによく見える」


「マジかー」


っていうか、あの神様、いつまで俺の姿を借りてるつもりなんだろうか。すると、神様は逆さまの状態でこちらに向き直り、話す。


「君たちは本来、人間ではない。だから、あちらの世界で活動できるように人間の仮の肉体を与えるには、僕自身の能力としても限界があるんだ。だから、そうホイホイとら連れていってあげられない。今、狐さんがあっちに要るから...」


「えっ!ってことは、僕たちのお願い、聞いてくれたんですか?」


「おっ、おおう。まあな」


「すごい!ありがとうございます、さすが神様だぁ!」


「おう、うん。まあ、そこまで言われなくても?俺がやりたかったから?」


あれ。この神様、案外とちょろい?しかも、アオもアオだ。全く打算無くこう言うことをやるんだもんな。とんだ人たらしだ。なら、俺も。


「おう!心が広いよな!一度ならず二度までも、俺たちの無理のあるお願いを聞いてくれて。だから、後生だ。二度あることは三度あるって言うし...」


「そうそう。頼むよ、三度目の正直って言うでしょ!」


「うーん、君たち、なんかそれ使い方違う気がするけど...うん。そうだね。やっぱり、僕は...仕方ない。3日だ」


「ん?」


「三日あげる。狐のご主人様探しも、羊のご主人様探しも、その間におわらせなさい。出来なかったらもう知らないよ」


「わーい!有難うございます!」


「フッ。どうやら、現世界との繋がりが強まったことで、語彙も増えてしまったようだな」


「おん?神様、今何か言ったか?」


「あーいや、なんでも。はい、行ってらっしゃい」


「あっ、うわぁっ!!」


また、体が地面に落ちていくような感覚がして、意識が途絶え、そして。


「ここは。...何処だ」


目が覚めたら、人が沢山いる、橋の上だった。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る