羅刹
敵の動きが無いことを確認しながら接敵。
まず手始めに射程範囲からカール・グスタフをぶっ放す。魔法力が全て持っていかれたので直ぐにシュヴァエモン印の丸薬を服用し魔法力を回復させる。
一方、私の魔法力をフルで詰め込んだカール・グスタフの砲弾は真っ直ぐ標的を捉え爆発を巻き起こす。
爆発により巻き起こった煙が晴れると、青い肌をした鬼のような敵は、直撃を受け膝をついたように見受けられた。
どうやら、かなりのダメージを与えたようだ。
ゴウはその隙を見逃さず、疾風のごとく駆け寄ると飛び掛かり斬撃を加える。
しかし相手も持ち直し、両手に持った剣でゴウの大剣を防ぐ。
その間、慧も間合いを詰め、ヴェノムシューターによる毒矢でスリップダメージを狙う。
だが驚くべきことにそれも別の腕に握られた剣によって簡単に弾かれる。
「あれはラークシャサだな。四本腕から繰り出される剣技には特に気を付けよ」
どこで見ていたのか分からないジュヴァエモン情報が響く。
「そうですか、やはり一筋縄ではいかなさそうですね」
慧は警戒を強める。
「アタシとしては四刀流の相手とは戦ったことないからな、いい機会だぜ」
ゴウはやる気満々でラークシャサと何合か切り結ぶ、だが四本の剣相手では分が悪すぎる、次第に捌ききれなくなり、間合いを取る為後方へ飛び退く。
私と慧はラークシャサに追撃させないよう、遠距離からの射撃で牽制し抑え込む。
次はゴイルズを仕向けて何体かで同時攻撃させるが全て剣で往なされる。
「剣技レベルヤバすぎでしょう」
「アタシだってあれくらい出来るぞ、手が四本有ればな」
私の言葉にゴウが無駄な対抗意識を燃やす。
まったく、張り合ってどうする。
「羅刹のイメージから攻撃一辺倒かと思いましたが防御も中々ですね」
「うん、取り敢えず分散して攻撃しよう、私と慧は側面から遠距離を攻撃を加えるから、ゴウは正面から斬り合って。出来るでしょう」
「ああ、任せろ」
その言葉と共にゴウが切り込みを掛ける。
ゴウとラークシャサが切り合うタイミングで側面から慧と同時に射撃する。
さすがのラークシャサも同時攻撃では捌ききれずにダメージを受ける。
ついでにゴイルズ達も後方から攻撃を行わせる事で更にダメージを追加する。
そうして少しづつダメージを与え続けていると、ラークシャサに変化が訪れる。
突然肌色が赤く変色したと思えば、剣を横薙ぎにして旋回を始める。
正面で対峙していたゴウが真っ先に吹っ飛ばされ、後方のゴイルズ達も旋回しているため迂闊に近づけなくなってしまう。
ラークシャサの旋回は止まることなくコマのよう動き始め、こちらに向かってくる。
直撃を食らうのは不味いのでシュヴァエモンからもらった
攻撃を阻まれたラークシャサは目標を慧に変え、そちらに向う。慧は上手くワイヤロープを柱に巻きつけることで回避に利用しアクロバティックに攻撃を避ける。
そうしてしばらく回避に専念し続けるとようやく回転が止まり青い肌へと戻る。
「ゴウ動ける?」
「ああ、大丈夫だぜノブヨ」
自前のポーションでヒットポイントを回復したゴウが、通常モードに戻ったラークシャサに切り込み剣を交え始める。
合わせて私と慧も動き先程と同じ様なフォーメーションを作り、確実にダメージを与えて行く。
「ジャーコさん退避してください」
先程の変化の予兆を見極めていた慧がゴウに声を掛ける。
ゴウは慧の声に反応してバックステップで距離を取る。
慧の読み通り、再び肌を赤く変化させたラークシャサが再び旋回を始める。
ゴイルズも退避させ、再び回避に集中する。
慧も先程同様に柱にワイヤロープを柱に巻き付け回避態勢に入る。
そして私はパイナップルの爆炎で壁を作りつつ動きを遮ると、マグ達オービタルを真上に展開させ、反射攻撃を行う。
狙いはコマの中心、軸となる本体だ。
そして私の予想通り、中心は無防備で見事に攻撃が当たるとラークシャサの動きが止まる。
「やりました暢世さん」
「すげーじゃんノブヨ」
二人の称賛は、少し……いやかなり嬉しい。
私は調子に乗って手を止めることなくバンドラインとオートナインを撃ちまくる。
しかしすぐに立ち直ったラークシャサには、正面からの攻撃はほとんど見切られてしまい、ダメージを与えれない。
しかし、無数の弾丸を剣で防いでいたことて隙が生じていた。ゴウがそこを見流すことなく、強力な一撃をラークシャサの横っ腹に食らわせる。
重い一撃はラークシャサを仰け反らせ、さらなる隙が生じさせる。慧はそのタイミングで接敵しヘルファングによる多段突きを決める。
私は更に、二人の連携攻撃で動きを止めたラークシャサに向かって追撃を仕掛けるべく声を上げる。
「二人共離れて」
私の声に合わせて二人が飛び退いた所に、本日二度目、事前に丸薬を飲んで魔力フルチャージ状態のカール・グスタフをお見舞いする。
ラークシャサは回避が間に合わず二度目の直撃を受け完全に膝をつく。
そこへ群がるように襲いかかるゴイルズ達。
これで大幅にヒットポイントを削ったはずだが、これで倒せたとは思えない。油断せず三度目の丸薬を服用。事前にシュヴァエモンからは五個支給されているので残り二つ、使い切る前に決着をつけたい。
そんな私の思いと裏腹にラークシャサは予想通り反撃に出る。再び赤く肌を変色させると、今度はオーラのようなモノを纏って爆発させ、群がったゴイルズ達を吹き飛ばす。
この攻撃でガーゴイルが数体やられてしまい、他も大幅にダメージを受けてしまった為急いで帰還させる。
ラークシャサは赤くオーラを纏ったまま今度は猛スピードでゴウに接近すると、激しい連撃を加えてくる。
ゴウは数合は打ち合いなんとか耐えるが、全てを防ぎきれずに大幅にヒットポイントを削られ危険な状況になる。
慌てて慧がサポートに入り、ポーションで回復させるが、接敵したせいで次の標的としてラークシャサに狙われる。
慧は持ち前の回避術とヘルファングで攻撃を捌くが四つの腕から繰り出される高速の斬撃に押され始める。
そこに回復したゴウが切りかかる。
二体一になったことで攻撃が和らぎ、何とか耐える二人。
当然ラークシャサにも隙が生まれるが、混戦状態のため、銃は撃てない。
私は態勢を立て直すべく、騎士をイメージした召喚魔を呼び出す。
そして現れたのはフルプレートアーマーで完全武装されたブラックスケルトンが三体。
その名もブラックスケルトンナイツ……まんまだ。
私は長いのでブラスケ達と呼ぶ事にし、彼らをラークシャサに向かわせ、ゴウ達への攻撃を肩代わりさせる。
三体の騎士はラークシャサの攻撃を大盾で防ぎつつ、槍で攻撃を繰り出す堅実なスタイルでラークシャサを取り囲みジワジワダメージを与える。
その間に二人は退避し、自分達のヒットポイントを回復する。
これで態勢は立て直せた、ここから第二ラウンドの開始だ。
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