再会
ネクロマンサーを倒し、二人の傷も癒えた後。
改めて二人と対面する私。
色々と話したいことがあったはずなのに言葉が詰まる。
だって、二人は私を助けるために危険を冒してここまで来てくれたわけで、つまり、そうさせた原因は私にあって……。
そんな申し訳無さが先に立ち、私は俯いてしまう。
そんな私の葛藤など気にした様子もなく涙と鼻水まみれのゴウが私に飛び付いてくる。
「よがっだ、よがったよ〜、ノブヨがイギデテ」
小さな体からは信じられない、強い力で強く抱きしめられる。
その後ろで呆れ顔の慧と目が合う。
「本当に大変だったんですからね。もう……でも……良かった。本当に良かったです」
慧もどこか涙ぐみながら安堵の言葉を盛らす。
「ホントだよ、もうアタシ駄目だと思って、でも暢世が簡単にくたばるなんて信じられなくてさ……ううっ、うぐぅ、よかった、ほんどうに、よがっだよおぉぉお」
落ち着いて泣き止むと思っていたゴウがまたぶり返して泣き始める。
子供の頃、力任せに皆を泣かせていたのはゴウの方だったのに、今は私のせいで泣き虫にさせてしまっている。その事でまた申し訳ない気持ちになってきてしまう。
私は気持ちを抑えて泣きじゃくるゴウの頭を撫でながら宥める。
そんな私を慧が眺めてため息を吐く。
「ふぅ……暢世さん責任なんて感じなくて良いですからね。今回の件は私とこのおバカが独断で行ったことですから。私自身も馬鹿なことをした自覚がありますし、なので責任は自分で取りますから、人の責任を勝手に背負い込まないでくださいませ」
「……うん。ゴメン、ごめんね慧。分かってる。分かってるけどさ、やっぱりさ考えちゃって私のせいで二人が酷い目にあったんだって思ったら、でもさ、それ以上にさ、嬉しいんだよ。酷いよね友達に危険なことさせておいてさ、馬鹿なことまでして親友が助けに来てくれた事がどうしょうもなく嬉しくって……」
「おバカ。そんなの当然じゃありませんか、貴方だって逆の立場ならそうしたでしょう。それこそ、どんなに力がなくっても」
慧がそっぽを向いてそう呟く。
「うん、そうだね。きっと大人達は怒って認めてくれない行動だろうけどさ、やっぱり嬉しすぎだよ……ありがとう慧、ゴウ」
確かに申し訳ない気持ちもある。
友人を危険な目にあわせてしまった負い目も。
でも、いま一番自分の中での素直な気持ちは嬉しいという気持ちだ。
彼女達と親友で良かったと心の底から思え、二人に再会出来たことに心から感謝できた。
「……もう、そんな事言われたら、私まで貰い泣きしちゃうじゃないですか」
そう言って目尻を拭う慧。
相変わらずゴウはワンワンと泣いている。
私も気づかないうちに雫が頬を伝い零れ落ちていた。
そんな私に慧もゆっくりと近づいてきて、最後は感情が爆発して、結局三人で抱き合って泣いてしまっていた。
その後は私を含めて三人共に目を真っ赤に晴らしつつ、これまでの経緯を説明した。
まずはシュヴァエモンとの出会いから……。
「なるほど、では暢世さんはその時シュヴァエモンさんに助けられたと」
「マジかよー、ドラゴン一撃で倒すってシュヴァエモンどだけパネーんだよ」
とりあずドラゴンに助けられた時の事を説明する。
あと、なぜこの世界に来たかは……。
アレ、そう言えば私も聞いてなかった。
「なぜこの世界に来たのかか……」
私達三人を見てシュヴァエモンが珍しく悩む素振りを見せる。
「簡単に言うなら偶然だな。あの時の我は多次元領域に囚われ身動きが取れなかった。そこに我の杖を持った暢世が現れ、しかも異次元から使い魔を呼び出す召喚士だった。杖を起点に次元の門を開いてくれたお陰で座標位置が把握でき、多次元領域から抜け出てこの世界に来ることが出来たということだ」
「へえー、全く意味は分からんけど。シュヴァエモンも暢世に助けられたってことだな」
「うむ。見方によってはそうであるな」
「だから、暢世さんに助力していると」
三人の話を当事者のはずの私が客観的に聞いていた。
私的には生き残るために夢我夢中で、シュヴァエモンが出てきた後は成り行きでダンジョン探索続行して、気がつけばゴウと慧を助けてて。
でも、こうして合流した以上、一度地上に戻るべきなのかもしれない。
これは逃げではなく、各方面に説明する必要もあるわけで……それに強さ的には、ゴウと慧と肩を並べて戦えるくらいには強くなったと思う。だから必要以上の無理はしなくて良いんじゃないかなとも、つまり何が言いたいのかというと、今がダンジョンから出るベストタイミングなのではないかと!
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