成長率
シュヴァエモンがホログラムのように映し出した画面。
すぐに私のステータス画面だと分かった。
だって画面の上に私の名前があったから。
そこには筋力、知力、精神力、生命力、敏捷性、幸運度の項目がありそれぞれにパラメーターを示すバーが横に伸びていた。
根本の部分だけ赤で、青色の部分が少しだけ伸びているのが分かった。
「えっとどう見ればいいの?」
なんとなく想像はつくけど一応見方を尋ねてみる。
「赤い部分が実際の基本値だ。そして青色の部分は
それを含めて自分のステータスを見ると青色の部分はほとんど伸びていない。ある一点を除いて。
「えっと、これってマジ?」
「ああ
シュヴァエモンがなぜか親指を立てる。
多分使い所を間違っている。
だってドラゴンを倒したのに私のステータスはほとんど伸びていないから、そうある一点。幸運度以外を除いて。
「ねえ、何で私こんなに偏ってるの? それもラック特化型ってなんなの?」
自分の絶望的なステータスからついシュヴァエモンに詰め寄ってしまう。
「いやそれは我に言われてもな」
「だってシュヴァエモン言ったよね。私を探求者のトップにするって、でもこんなステータスでトップになれるわけ無いじゃん」
突き付けられた現実に私は自暴自棄になりかける。だってそうだろう目の前に道が開けたと思えば残酷な現実を見せつけられる。こんなのって無いじゃん。
「まあ、落ち着け暢世。運以外にも汝には特異なものがある」
「そんなの気休めでしょう。どうせ私は運だけしか取り柄がないドロップ要員よ、得意なものなんて有るわけ無いんだから」
「違う、これを見ろ」
シュヴァエモンはステータス画面を切り替える。
すると一点だけひときわ飛び抜けてパラメータが伸びている項目があった。
「これは、えっと魔力出力?」
「そうだサブパラメータというやつのひとつでな。魔力を一度に放出出来る割合を示している」
初めて聞いた内容で、魔法の授業でそんな事は習わなかった。
「これが高いからって何なのよ。これまで一度だって召喚術が強くなったことなんてないんだから」
「当然だ。下級召喚の呼び出しで消費する魔力などたかがしれている。汝が本領発揮するのはもっと高位の召喚。成長すればそれこそ、複数で行うような儀式召喚すら汝は一人で可能になる」
思いも寄らない救いの道をシュヴァエモンが示す。まあ儀式召喚とかは良くわからないが、何だか凄そうなのが分かって涙が溢れてくる。
「うっうっ、ホントに、ホントに、ホントに私しゅごくなれるの?」
「ああ、我の言葉に間違いはない。それに先程の銃。それは火薬で撃ち出す物ではない、魔力を込めて撃ち出す物。つまり魔力出力が高い暢世には最適なはずだ。つまり形を似せているだけの中身は別物だ、持ってみれば分かる」
そう言われてシュヴァエモンから渡されたバントラインスペシャルは銃とは思えない軽さだった。
「なにこれ、なんでこんなに軽いのよ」
「言ったであろう別物だと、それは暢世向けに調整した、いうなればノブヨスペシャルだ」
シュヴァエモンが嬉しそうに銃の名を告げる。
しかし私は納得いかない。
「いやそれダサいから却下。バントラインスペシャルもしくはピースメーカーで」
『えっ』といった表情で私をみるシュヴァエモン。
自分の名前にしろネーミングセンスが微妙だ、今後シュヴァエモンに名前を付けさせるのは止めておこうと心に誓う。
「ちょっと待て、普通武器に自分の名前とか付いたら嬉しいのではないのか?」
なぜか尊大な態度は鳴りを潜め、自信無さげに尋ねてくるシュヴァエモン。
「いや、ぜんぜん」
私が正直に答えると。がっくりした様子でひとりブツブツと何かを呟く。
なんだかその様子がおかしくて、名前と相まって親近感が湧いてくる。
それこそドラゴンを一発で倒してしまうすごいヤツなはずなのに。
名前はシュヴァエモンなんて締まりの無い名前だし。
ネーミングセンス否定されたくらいでちょっと落ち込むような奴。
でもトップを目指して共に歩んでいくのなら固っ苦しい関係よりは今みたいな方が良いかもしれない。
私はもう一度親しみ込めて名前を呼んだ。
「でもさ、ありがとう。今後ともヨロシクね。シュヴァエモン」
その言葉にシュヴァエモンが反応する。
仮面で顔は見えないけどなんだが微笑んでくれた気がした。
「ああ、暢世。最弱キャラに相応しい汝を必ずトップにしてやるからな。安心するがよい、ワッハッハ」
のは気のせいだったみたいだった。
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