第2話
さて、これからどうするか。
幸い今はまだ明るいが、いつ日が暮れるかもわからない状態だ。安全な場所を見つけないと、おちおち寝てもいられない。
なぜかこの場所は、比較的に安全な感じがする。女神さまが俺をこの世界に落としてくれた場所だからだろうか?
俺はこの辺りを検索することにした。周辺の状況を把握しないと後で水も食料も底をつくだろう。
俺は女神さまからもらった袋を肩にしょい、 可能な限り落とされた場所からまっすぐに進んだ。20分ほど歩いただろうか?急に視界が広がったと思いきや、木々が途絶え、太陽を拝めた。というか、太陽が二つあるんだが…空も俺が知っている空色ではなく少し紫が混じったような色だ。
そして、俺はがけっぷちに立っていた。
ヨセミテ国立公園のエルキャピタンをご存じだろうか?
崖の端から下を見下ろすとマジで高さ1000メートルはあるような崖だ。
そして、この崖は左右に円形を描き視界から消える。
ちょっと待て。いやな予感がする。
俺は地面に枝を折って適当なマークを残しておく。
崖に沿って歩き始めると、緩やかなカーブをたどりながら歩いているのがわかる。
約3時間ほどかかったと思うが、俺のマークがある元の場所に戻ってきた。
女神さま、この孤立された高台ででどうしろと。
気を取り直して歩き回ってみると小さい湖が高台の中心部にあり、少動物や水鳥の生息地になっている。俺が近くによっても全く警戒されていない。たぶん人がこの土地に足を踏み入れたことはないのだろう。湖の周辺には果実を豊富につけた木々が繫殖している。
小動物たちが水を飲んでいるので、一応この水は安全と思う。
そして、鳥たちが食しているこの果実も食べても安全なようだ。
ふと、小動物を狩り食事の足しにしようと思ったが、なぜかそれも思いとどまった。
この聖神な場所を壊すのは、俺には無理だった。
前世では俺は動物好きだったのだろうか?女神さまが消したのは俺の人生の記憶。性格は前世とそう変わっていないと思う。
いや、普通に無理だろう、モフモフな角をはやしたウサギ、それに耳が地面まで垂れ下がっているようなリス?これほど無防備で癒される生き物を殺すなんてとてもできない。
俺は近くの木によじ登り、果実を三つほどもぎ取ってきた。湖のふもとに座り、一口かじってみると意外においしい、リンゴとイチゴを混ぜたような味がした。
不思議なことに、この果実一つと女神さまからもらったパンを少し食べると、空腹も収まった。
この高台の探索を大分していたので食事を終えるころには薄暗くなってきたので、
俺は湖のほとりで野宿することにした。これだけの小動物が警戒もせずに生息している場所だ。肉食動物がいる確率はほとんどないと思う。
謎の皮を地面にひき、横たわる。夜空を見上げると前世ではとても見れないほどの数えきれない星が夜空を埋め、その光が湖の水面に反射している。
美しい光景が心にしみた。前世では到底に感じられなかった心の安らぎが、そっと訪れた。
次の瞬間、俺は泣いていた。なぜかはわからない。ただ、大粒の涙が絶え間なく俺のほうを伝い、地面に落ちていく。どのような感情だったかは、はっきり言ってわからない。でもこの感情を押し殺そうとした、が無理だった。
しばらくの間、俺は声を殺しながら泣いていたが知らないうちに深い眠りに陥っていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます