おまけ(没)

 高校の時の友人と再会した。


「おお、久しぶり、今時間あるなら、

 ちょっと、コーヒーでも飲んでいかない?

 奢るよ」

 と誘われたので、友人に付いて行った。

 行った先は、喫茶店、ではなくホテル。

 コーヒー一杯2000円!

 しかも友人は腹が減ったからと、

 サンドイッチを追加注文。

 価格、4000円。

「一切れやるよ」と貰って食べた、

 上手い、が4000円の価値はない。

 コーヒーも、普通のと比べると、

 どっぷりと黒いくらいで、

 味の違いは分からない。

 友人は、それを美味そうに、

 ごくごくと飲み干し、

 おかわりを頼んだ。

「随分と、羽振りが良いみたいだが、

 どうした? まだ俺と同じで、学生だろ、

 宝くじでも当たったか?」


「魂を売った」


「魂? 誰に? 悪魔にか?」


「さあ? 契約書交わした相手は、

 普通のサラリーマンぽかったけど」


「お前、それ、大丈夫なのかよ、

 確かに、今は良いかもしれないけど、

 死んだ後に、魂取られるやつだぞ」


「ん、何言ってんだ。売ったって言ったろ。

 死んだ後とかじゃなくて、

 その時に、売ったんだ。

 でも、特に何も変わったことなんてないし、

 俺は、今、最高に幸せだぜ」


 そう言った、友人の目を見た。

 コーヒーのように、

 どっぷりと黒い眼をしていた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

コーヒーを飲んで、おやすみなさい。 あめはしつつじ @amehashi_224

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ