第24話 マッサージは内気功の訓練に最適なのじゃ!

 肩が出るタイプの薄手の湯着。

 蒸気に熱せられて汗でびっしょり。


「ふぉぉ……極楽じゃぁ……」 


 岩盤のベッドの上で惚けた顔で涎を垂らす鬼人娘。

 美少女が台無しである。

 濡れた白銀の髪がペタリとくっついている。

 小さいお尻は透けているがなにも線がでない。

 湯着は下着をつけないから当然か。


「ジンよ、マッサージをするのじゃぁ……」


「……」


 おい。

 誰がお金払ってると思ってるんだ文無しめ!

 はぁ、師匠の面倒は弟子が見る決まりらしいので仕方がない。


「ぬほ? ぬは、ぬははは!」


 5歳児の手は小さい。

 本格的な武術の修行をしていない手は柔らかく、ルーナは苦しそうに笑っている。

 コチョコチョコチョ。


「はぁ、はぁ……お主……わざとやっとったじゃろ?」


 途中からね。

 

「まったく、そういうところは5歳児っぽいのぉ」


 そういって頭をポンポンしてくるルーナ。

 相変わらずの絶壁だ。

 12歳にしてもちょっとあれだね。


「……なんか失礼なこと考えとるじゃろ?」


「かんふぁえてないひょ?」


 ほっぺひっぱらないで?

 別に痛くないけど。

 恥ずかしい。

 まぁまわりは蒸気で近くまでこないとよく見えないけどね。


「ほれ、かわってみろ。 見本をみせてしんぜようぞ」


「ん」


 岩盤のベッドに横になると温かい。

 ちょうどいい人肌。

 これは涎を垂らして眠くなるのもわかる。


「よいか? マッサージは武と同じじゃ」


 ルーナの細い指が背中に触れる。

 みかけによらず手の平は武術家のように鍛えられている。

 

「相手の気の流れを感じ己の気を合わせるのじゃ」


「んっ……」


 自分の中の気を気づかせる時と同じように、ルーナの気が入ってくる。

 抵抗しようと自分の気が暴れだす。

 でも彼女の気は温かくゆっくりと一緒に流れていく。


「ふぁぁ……」


 気持ちがいい。

 正直、5歳児の柔らかい体でマッサージなんてされてもくすぐったいだけなのに。

 前に母様にされた時はそうだった。

 でもルーナのマッサージは違う。


「ひもちいぃ……」


「くっくっくっ、そうじゃろう? わらわの手技に、骨抜きにされてしまうのじゃ!」


 なんて最低な師匠なんだ……。

 でも抗えない。

 体の疲れは抜けほぐされていく。

 全身の力がゆるむ。

 気のゆるみ。

 快感が押し寄せてくる。


「やっ、おしりっ」


「ほぉれ、ここをこうすると、気持ちいいじゃろ?」


「あっあっ」


 先ほどの仕返しか、尻肉をほぐほぐされてしまう。

 5歳児のお尻を揉みしだく変態師匠をだれかどうにかしてくれ。

 まるでタコの吸盤のように吸いつく手。

 もちもちの肌を蹂躙されていく。

 湯着の中に手を突っ込んで割れ目まで弄ばれる。


「ぬふふ。 内気功の鍛錬にもなるのじゃ。 わらわの気に抵抗してみせい」


「んっ、あっーーーー」


 太ももだめぇ!?

 彼女の両手の指全てが太ももを撫でていく感触。

 体が動けば頭を掻きむしりたくなるほどの快楽。

 しかし体が動かず身動きがとれない。

 まるで彼女の気に体が支配されているようだった。

 あまりの刺激に体が痙攣する。


「あれ……ちとやりすぎたかのぉ?」


 もうお婿さんにいけない。

  

「お客様。 当施設ではそういった行為は禁止です」


「ぬ!? 誤解じゃっ、ちょっと気の訓練を」


「はぁ……みなさんそう言って嘘を付くんですよ? ちょっとこちらにきていただけますか?」


「ま、まつんじゃあーー!?」


 変態は怖いお姉さんに連れ去られた。


「ふぁぁ……」


 全てを忘れ冷たくなった立ちシャワーで汗をながす。

 その日の風はとても気持ちよかった。

 


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る