第5話 厨二病師匠と魔眼?の弟子
「わらわは、ルーナ・ラルーア。 ルナ様と呼んでかまわぬ」
「……」
突如できた僕の師匠、ルーナ・ラルーアと名乗る白銀の鬼人美少女。
名乗りと同時に何故か、『唯我独尊』と背後に幻視が見えた。
「ふむ、さすがメリサ殿のご子息、顔が良い。 特に右の瞳。 どこまでも深く昏く、底知れぬ欲望を表すような黒い瞳が素晴らしいの……」
白銀の瞳が僕を見定めるように見てくる。
美少女見られるというのは嬉しいように思えるが、鬼に獲物を物色されているような感覚に襲われる。
「そして対をなす、秘宝のような左の瞳。 精霊王が持っていたとされる黄金の瞳と同じく、その中に白金の万華鏡を映している。 相反する属性を併せ持つか、実に興味深いのぉ」
僕の目は黒と金のオッドアイで中二病なんだが、師匠の頭はガチの中二病っぽいな。 道着も袴を改良したような独特のスタイルだし。 言葉遣いも不思議ちゃんだしなぁ。
これは、やべぇ奴に捕まったかもしれないぜ!
「しかし、浮かない顔をしておったが、どうしたのじゃ?」
僕の心配などお構いなしに、ルーナは僕に近づいてくる。
不思議な香りがした。
どこかで嗅いだような懐かしい花の香り。
彼女が近づくごとに鼻孔を突き抜け脳を揺さぶられ感覚が麻痺する。
意識が、朦朧として。
なんだ……コレ……。
「おっと、すまぬな。 ……小さくともおのこか、困ったのぉ――」
そう言ったルーナの顔は、酷く悲しそうだ。
僕は何か言わなければ、そう思ったとき、右目が疼き頭に声が鳴った。
>>>システムアラーム ユニークスキル≪
「ぐっ!?」
「ジン!?」
右目の疼きが激痛に変わる。
瞼釣りあがる。 目ん玉がゴロゴロするを通り越してぶっ飛びそうなほど痛い。
>>>一定の魔力を消費しプロテクションを展開。 ……失敗。 魔法力の欠如。 魔力を継続消費し抵抗力強化。 ……成功。 魔力の自然回復にて持続可能。 防衛の成功を確認。 システムアラーム解除。
謎の声が頭の中で告げ終わると、右目の痛みは引いた。
「はぁつ、はあっ、はっ……」
「ジン、大丈夫か!?」
膝をついた僕にルーナが心配そうに声を掛けてくる。 色んな事が起こりすぎてわけがわからない。 ただ先ほど感じた不思議な香りはしなくなっていた。
「な、んとか……」
「お主、その瞳、それにわらわの……」
僕の右目を覗き込むルーナ。
見つめ合うこと数十秒。
睫毛長いな。
頬がほんのり赤い。
角はやっぱり硬いのかな?
なんて僕が考えていると、難しい顔をしていた彼女は、ニッっと口角を上げて微笑んだ。
「ふむ、ふむ! お主はやはり、素晴らしいのぉ!!」
お主は絶対に、わらわの弟子にする!と、はしゃぐ彼女。
風に揺れる林が、この先の僕の波乱を予感させるように音を奏でる。
陽気に踊る彼女のように林は揺れていた。
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