異世界語が異様に習得しづらい

 ある日、可愛い女の子に拉致られて異世界転移した僕は、現地語の文字、ハレガダンバ文字を覚えさせられていた。


「いいですか、異世界人さん」

「はい」

「vaがవでpaがప、naがనでsaがసです」

「……ほとんど同じじゃないですか?」

「違いますよ! がくっついているのがవとన、くっついていないのがపとసです」

って何??」

「上についてるVみたいな記号です。母音の記号がつくと形が変わって、例えばpa పが長い音になるとpā పా、da దはdi ది になるとこんなふうに……」

「いやいや、こんな言語僕にはムリだよ! 習得できっこない。やっぱ日本語サイコー」

 すると彼女はなんだか必死になってこんなことを言い出した。

「アナタね、日本語がどれだけ難しいか自覚してます?

 これが『』でこれが『』、そんでもってこれが『』でこれが『』とか言われても、分からないですよ!」

「た、確かにまあ……」

「『』とか『』とか正しく読めるようになるまでに、どれぐらい時間かかったと思ってるんですか??」

「一応違うし、慣れたらどうにかなるって」

「でも、『』と『こう』なんておんなじじゃないですかー?』

「いやいや、よくご覧なさい。こうして拡大して見ると縦棒の長さが微妙に違って……」

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