女神様に「言葉ぐらい通じる世界がいい」と頼んだ結果

女神様「なになに、言葉ぐらい通じる世界がいいですって? ワガママですね……。分かりましたよ」


 俺が再び目を覚ましたとき、辺りには中世ヨーロッパのような街並みが広がっていた。

 周りの景色に気を取られていると、後ろから誰かがぶつかってきた。

「売春婦の豚! あなたは何を考えていますか。」

 後ろを振り向くと、異世界人のカワイイ女の子がむくれ顔で転んでいた。彼女は日本語を話し出した。

「ごっ、ごめん。大丈夫?(すみません。あなたは正気ですか?)」

 俺が謝ろうと声をかけたところ、再び喋り出した。

「排便して、あなたこそ正気ですか。」

 彼女はなぜか怒り出して、俺をにらみつけてきた。

「どうした? なんでそんな喧嘩腰なんだ?(どうしたの、どうしてそんなに喧嘩好きなの?)」

 俺が言ったことが全て誤訳されたせいか、彼女は何かの棒を片手に威嚇してきた。

「あなたは戦いを求めていますか、小さい女狐。私は強力な魔法を持っています。あなたはこれを後悔するでしょう。」

 異変に気付いた俺は急いで設定ウィンドウを開き、「吹き替え」をオフにしたが、今度は

「『あなたはこの翻訳の正確さを保証しますか? 星五つで評価してください』……って、そんなことしてる場合じゃねえんだよ!」

 俺が星一つを押している間にも、こちらへ向かって火の玉が飛んできた。

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