第13話 猩々
私は、巨大な皿のようなものの上に置かれた。
乗せられたとでも言うべきか。
周りには多くの野菜が、丸々置かれている。
更には、猪や鹿、牛なども生のまま、並べられている。
そして正面。
そこには真っ赤な顔の、見上げるほど巨大な猿が鎮座し、酒を飲んでいた。
皿の周りには人間大のものも。
何も判らなかったが、ただ私がこの後食べられるということだけは理解できた。
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
「猩々?」
『二口女』は思わず聞き返す。
「えぇ。あの山に住む巨大なものと言えば、もう猩々くらいしか」
「でも、あいつら酒さえ飲んでおけばいいって聞くけど?」
「最近は血の気も盛んになっているんでしょう。あの山の中で、猪や鹿などを見かけることが少なくなりましたし。恐らくは、襲って食しているかと」
『九尾の狐』は淡々と説明する。
「同志も、巨大な猿に襲われそうになったと言っていました」
少年も言う。
「猿か・・・これで戦えるかな?」
『二口女』はこれ、で手に持つ猟銃を示す。
「駄目ですね。奴らの皮膚は相当固いですし、何より、あからさまに攻撃されたと知るや、恐らくは反撃に出るでしょう。まぁ、その場合、無様に退散するのがオチですね」
言うなり、懐から封筒を取り出すと、少年に渡し、
「これを奴のところに。すぐに来るよう書いてありますので」
言って、踵を返す。
「さて、私たちは先に山に入りますかね」
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